TOEIC対策、スマホで 学習支援アプリが充実
英語の実力を測る指標として広く使われる英語能力テスト「TOEIC」。海外赴任を目指す社会人や就職活動中の学生など多くの人が勉強に励んでいる。そんな人に役立つのが、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けの学習支援アプリだ。音声や映像を視聴しながら問題を解くなど、通勤・通学の電車やバスの中で、手軽に本格的な英語学習ができる。
「いつでも片手で使えるので、英語の勉強をする時間がぐっと増えた」――。都内の保険会社に勤める一岡誠さんは最近、TOEIC対策でスマホのアプリを活用し始めた。以前は書籍の参考書を使って勉強していたが、「ラッシュの電車内で読むのは難しい。付属のCDも携帯プレーヤーで聞くにはパソコンに落とさなければならず結局、休みの日に家で勉強する程度だった」という。
スマホにイヤホンを差し込めば音声も聞けて、片手で画面を操作するだけで問題が解ける。便利さから勉強にも熱が入る。
試験の申し込みも
一岡さんが使っているのは、TOEICの日本の運営団体、国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC、東京・千代田)が配信する無料アプリ「TOEIC presents English Upgrader」。2011年5月に提供を始めたもので、会食やインタビューなど場面に応じたリスニングのほか、文法や単語の問題をクイズ形式で出題する。
このアプリは人気が高く、ダウンロード数は1年で60万に達した。5月16日から第2弾の提供を始めた。「利用者から第2弾を望む声が相次いでいた」(普及企画チームの中俣忍チームリーダー)。新アプリでは、これまで書面やパソコン経由でしかできなかった試験の申し込みもできるようにした。
一岡さん同様、通勤・通学途中の英語学習といえば、少し前までは参考書片手に携帯プレーヤーを使う人が多かった。スマホなら1つで済む。常に持ち歩くので、通勤・通学時でなくても、空き時間ができたらすぐに学習できる。自分はどこが弱いかなど、アプリなら正答率などを確認しやすいのも特徴だ。
無料で使えるアプリも少なくない。旺文社(東京・新宿)も無料アプリ「TOEICテスト全PARTトレーニング」を提供する。目標スコアを設定し、スコア別の対策コースが選べる。問題ごとの詳しい解説や、項目ごとの攻略法などの情報も充実している。
より本格的に勉強するなら、有料アプリもある。同社の「新TOEICテストハイパー模試」は月額300円で試験本番さながらの構成の問題を解く。
英語教材出版のアルク(東京・杉並)が手掛けるiPadなどタブレット向け「TOEICテスト スーパー模試」(600問で1800円)も、実践感覚で問題を解くことができるアプリとして人気が高い。
同社はスマホ向けのアプリも複数出している。「1日3分 TOEIC TEST PART5!」はTOEICの出題全項目を網羅。全400問を1日8問、50日かけて学習する。間違えやすい問題の傾向分析をする機能があり、繰り返し学習に向くという。
ちょっとした時間に
映像を見ながら学習できるアプリもある。留学支援会社、アゴス・ジャパン(東京・渋谷)の「TOEICビデオ学習アプリ」だ。講義2時間分のコースで450円。従来、パソコンで配信していたビデオ学習コースの簡易版で、1つの課題は約5分と、ちょっとした時間でもこなせるようにした。
通勤・通学時に学習できるTOEICアプリ。分厚い問題集でコツコツ勉強する時間のない人も気軽に使えそうだ。価格もそう高くはない。それでも効果が心配な人は、まず無料アプリで試してみるのもよいだろう。
(電子報道部 岡田真知子)
[日本経済新聞夕刊2012年5月24日付]
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