書類・名刺をスマホで管理
カメラ使って保存、検索も簡単
書類や名刺をスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)でまとめて管理したい。ビジネスパーソンの切実なニーズにこたえるアプリが広がってきた。書類やメモをいつどこでも確認・編集できたり、名刺を撮るだけで連絡先が記録できたり。さらにはスマホでファクスを受け印刷したり。これらのアプリを上手に活用し仕事の効率化に挑戦しよう。
「あの書類、どこやったっけ」。商談に向かう直前、あわてた経験がある人は少なくないだろう。ペーパーレスを採用する職場でもパソコンのどこに保存したか忘れることはある。トラブルを防ぐには、いつでもどこでもデータを取り出せる置き場を用意すればよい。インターネット上のファイル保存サービス、オンラインストレージだ。
他端末とデータ共有
よく知られているのは「エバーノート(Evernote)」や「ドロップボックス(Dropbox)」。どちらもスマホに専用アプリをインストールすれば、文書や写真のデータを簡単な操作でネット上に保存し、他の端末と共有できる。通信環境さえあれば、職場で保存した書類をどこでもすぐ取り出せる。端末が壊れてもデータを失う心配がないことも利点の一つだ。
無料で利用する場合、エバーノートはアップロードできるデータが1カ月に60メガ(メガは100万)バイトまで。ドロップボックスは保存容量が最大2ギガ(ギガは10億)バイトに限られる。どちらも料金を払えばさらに多くのデータを保存できる。
各サービスの独自機能にも注目したい。エバーノートは保存した書類の文字を検索する機能がある。ドロップボックスは一度に大量のデータをアップロードすることが可能。自分の使い方を考え、適切なサービスを選ぶとよいだろう。
書類を確保したら取引先へ。到着前に連絡をとりたいが、相手の名刺をスマホに写し忘れ、番号がわからない。こんな経験がある人は「CamCard」(iOS用は1500円、アンドロイド用992円)や「WorldCard Mobile」(iOS用1300円、アンドロイド用764円)など、日本語に対応した名刺認識アプリを活用してみてはどうだろう。名刺を写真に撮れば連絡先がスマホに登録され、書き写す手間を省くことができる。
撮影した名刺の文字は自動で読み取られ、名前や電話番号、メールアドレスに分類して記録される。どちらも簡単に会社名などでグループ化できるのも便利だ。
外出先でファクス受信
出張中に追加の資料をオフィスから取り寄せたい。そんなときはファクスをスマホで受信できる「イーファックス(eFAX)」が便利。有料のサービスで、付与された電話番号にファクスを送ってもらえば、書面のPDFファイルが添付されたメールが届く。スマホから送信することも可能。PDFのほかワードやエクセルのファイル、画像データも送れる。過去のファクス閲覧も可能だ。
受け取ったファクスはSDカードなどに保存して、コンビニエンスストアなどのプリンターで印刷することができる。ただ、スマホがSDカードに対応していないこともある。その場合は富士ゼロックスが提供する「ネットプリント(netprint)」が役にたつ。
アプリで文書や画像を登録すれば、全国のセブンイレブン店舗の複合機で印刷できる。料金は1枚20円から。たとえば移動の車中で仕上げた書類を、現地の店舗で印刷するといった使い方も便利だろう。
情報技術分野の市場調査会社、ICT総研(東京・千代田)によると、エバーノートなどパーソナルクラウドサービスの利用者は2011年度に1965万人、15年度には5601万人に達する見通し。もっとも、仕事で使うなら名刺などを含め情報漏洩のリスクは完全に排除する必要がある。社外秘のデータはもちろん、個人情報についてもネット上に保存するのは極力さけるべきだ。情報管理の高い意識を持って、利用することが肝心だろう。(経済金融部 平本信敬)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。