スマホと連動でカーナビがさらに使いやすく
風薫る5月に入り、本格的な行楽シーズンを迎えた。あちこちに出かける機会が一層増えるなか、役に立つのが自分の現在地や周辺のレストラン情報を教えてくれたり、目的地までの道案内をしてくれたりするナビゲーションシステムだ。ナビシステムの基礎知識と最新事情を探った。
スマホの普及でより便利に
ナビは人工衛星の電波を受信して自分の位置を知ることができる「全地球測位システム(GPS)」を利用している。自分がどこにいるのかがわかれば、周辺にどんな施設があるのか、地図情報から検索できる。
カーナビゲーションシステムの普及により、すっかり生活に根付いた。そのナビシステムは現在、新しい時代を迎えている。背景にあるのが、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の急速な普及だ。
GPSで位置情報を取得できるスマホの登場により、ナビシステムの使い勝手は格段によくなった。コンビニエンスストアやレストラン、旅館・ホテルなど、自分が探したい店や施設の情報を詳しく教えてくれる各種のスマホ向けアプリケーションソフト(アプリ)が続々と出ている。
例えば昭文社のアプリ「ことりっぷ」は京都や沖縄など地域別の情報を提供し、旅先でガイドの役割を果たす。オンラインゲームやウェブサービスを提供するNHN Japan(東京都品川区)は自分の位置情報を友人らに知らせる「ロケタッチ」を提供。4月下旬からは割引クーポンが使える店などを教える周辺検索サービスを始めた。
特定ジャンルに特化したアプリも多数
ほかにも牛丼店、道の駅、温泉、スキー場など特定のジャンルに特化して紹介するアプリが多数登場。ガソリンスタンドの位置や最新価格を表示するものもある。名所・旧跡、東京の古地図など趣味性の高い情報も増え始めた。アプリは情報の更新が簡単なため、いつでも最新情報を取得できるのも魅力のひとつだ。
アプリの人気ランキングなどを紹介する「appliko(アプリコ)」を運営するNTTコミュニケーションズによると、同サイトでの「ナビ」というキーワードの検索件数は急増。1月後半は600件に満たなかったが、3月後半は1200件を超えた。
カーナビもスマホと連動することで新しい機能を備え始めた。例えばJVCケンウッドの新しいカーナビは、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」と連動し、様々な地図情報を取り込める。
ドライブ計画を立てるとき、ガソリン消費量の少ないルートを検索したり、渋滞をいち早く知らせたりするアプリの人気が高い。店舗など目的地の検索は文字のほか音声でも可能だ。
デンソーはスマホとカーナビを連動させる「NaviCon」を提供。このシステムに対応したカーナビ機器を搭載していれば、スマホで行きたい場所を決めれば、カーナビが案内を始める。操作性の良さが受け「NaviCon」に対応する各種アプリは、4月下旬に87本に増えた。
ナビシステムを活用したアプリを利用する際は、iPhone対応かアンドロイド対応か、確かめる必要がある。無料と有料があり、有料でも大半は月315円程度だ。NTTコミュニケーションズの三隅浩之さんは「かゆいところに手が届くアプリは有料。それでもコーヒー一杯の料金で使える」という。
カーナビと連動して使う際は、操作に注意が必要だ。事前に情報を仕入れて出発前にカーナビに送るのが望ましい。運転中であれば、助手席に座る人が操作しよう。
ナビは一層の進化も期待できる。膨大な地図情報を持つゼンリンデータコム(東京都港区)は、ビル内や地下街の地図情報を基に、傾きや動きを検知するセンサーを活用し、地下でも案内するシステムを開発中。地下駐車場などで空き位置を知らせるカーナビも、いずれ登場するかもしれない。
(鈴木康浩)
[日経プラスワン2012年5月5日付]
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