処方薬のメリットは、その人の症状にあわせた薬を処方してもらえることだ。とはいえ、受診が面倒という場合には、市販薬を試してみるのもいい。最近では、処方薬と同じ成分のものが出ている。

このほか、「薬に関しては眠くなるほどよく効くと考える人が多いが、それは誤解だ。最近では、眠気を起こさずにアレルギー症状だけを抑えるタイプの薬が多く出ている」と東北大学の谷内一彦教授は語る。医学の世界では5年前の常識は疑えともいわれる。新しく正しい知識による花粉症対策を心がけたい。

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集中力落ちない市販薬も

花粉症のアレルギー症状を起こす成分の一つがヒスタミンだ。花粉が鼻の粘膜などに付着すると体内でヒスタミンが作られ、鼻粘膜にある「ヒスタミン受容体」に結合して、アレルギー症状を起こす。

一方、ヒスタミンは脳内で集中力や記憶力を高めたり、覚醒させたりする重要な役割を果たしている。

花粉症薬の成分、抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンと受容体が結合するのを防ぎ症状を抑える。このため、古いタイプはアレルギー症状とともに脳内のヒスタミンの作用も抑え、眠気などが起こっていた。

「眠気と異なり、集中力や記憶力の低下は自分でも気づかずに起こる。こうした状態を鈍脳といい、事故、けが、試験の成績低下などの原因となる。最近は、脳内には入らずアレルギー症状だけを抑えるタイプの抗ヒスタミン薬が登場した。車の運転や試験の時などには、鈍脳を起こさずに症状を抑えるタイプの薬を選んだ方がいい」と谷内教授。現在は、市販薬、処方薬ともにこのタイプがあるので、医師や薬剤師に相談するといい。

(ライター 武田 京子)

[日経プラスワン2012年3月10日付]