苦手な人にも使いやすいアイロン
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節約とおしゃれを両立
節約志向などを背景に自宅でアイロンをかける人が増えている。家事の中でも面倒な部類の上位に入るだけに、きれいにかけられる機種のニーズは高そう。家電量販店やインターネット通販などで購入できる機種の中から、専門家が実際に試しておすすめを選んだ。
アイロンは機能が単純なため製品ごとの差が付きにくかった。しかし最近「アイロンがけや靴磨きなどファッション製品の日々の手入れにこだわるのがおしゃれとの意識が広まった」(パナソニック)こともあり、各社とも開発を強化。強力な蒸気を噴き出すスチームショットや抗菌・防菌装置、かけ面のすべりを高める新素材など高機能化を進めている。
たとえば1位と4位はかけ面の形状を見直し、前例のない「前後対称」にした。アイロンがけが嫌われる理由に「かけた部分がまたシワになる」ことがある。かける時に本体を引き戻してしまい、かけ面の後部が衣類に引っかかるのが原因だ。前後対称なら引っかかりにくく、進行方向も気にせずかけられるため、アイロンがけの時間を従来比で20%短縮できるという。
衣類の上でのすべりもかけやすさを左右する。2位ははっ水性が高く、熱を加えるとすべりが良くなる新素材をかけ面に採用。スチームの水滴がかけ面に残りにくいこともあり、専門家による試用でもスムーズなかけ心地が評価された。3位はパワー自慢のコード付き機種。かけるうちに温度が下がるコードレスにはない強力スチームで、頑固なシワを伸ばしやすい。
家庭用アイロンのスチーム機能の多くは、水をその都度熱して蒸気にする方式。10位内には入らなかったが、水をあらかじめ加熱しておき効率よく蒸気を発生するボイラーを外付けや内蔵で搭載する機種もある。取り扱いはやや難しいが、強力なスチーム力を求めるならば検討してみてもいいだろう。
スチームの量と質カギ
専門家に注意点やコツも聞いた。洗ってもシワが付きにくい形態安定加工を施したワイシャツが増えたが、石井康裕さんは「洗濯乾燥機で乾かすなら、形態安定のシャツでもアイロンをかけた方がきれい」と助言する。ぱりっとさせるには霧吹きでしっとりさせたり、極端な例では洗濯後のぬれた状態でかけたりするのも手という。
家庭用アイロンはスチーム機能の量と質が重要というのは中村祐一さん。「量が多ければいろいろな衣類に対応できる。水滴がぽたぽた垂れるなど質が悪ければ使いにくい」。また、コードレスはちょっとかけるにはいいが、しっかりかけたい場合は「常に安定したスチームが出るコード式をすすめる」とのアドバイスも多かった。
調査の方法 メーカー推薦も考慮して選んだ11社20機種が対象。日ごろ製品に接する売り場担当者を除き、綿100%ワイシャツを実際にアイロンがけし、おすすめを選んだ。1社3機種以上入った場合は上位2機種までをランキングした。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
石井康裕(東京クリーニング学校講師)▽神原サリー(家電コンシェルジュ)▽小川博(ホテルランドリーサービス会社仕上げ担当)▽関橋由貴(ビックカメラ有楽町店本館)▽高木康裕(ヨドバシカメラコンシェルジェ第9チームマネージャ)▽高橋ゆき(ベアーズ専務・家事研究家)▽中村祐一(洗濯アドバイザー)▽毎田祥子(家事アドバイザー)▽矢野きくの(オールアバウト家電ガイド、節約アドバイザー)▽山澤亮治(ヤマサワプレス代表取締役)
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