食べに行きたい ご当地グルメ
何でもランキング
飾らぬ味、気軽にはしご
手ごろな値段で地方色豊かな料理が楽しめると人気が高まっているご当地グルメ。有名になり地域外でも食べられるようになったものもあるが、現地に行かないと味わえないものも多い。そうした料理の中から、味に加え、食べ歩きやちょっとした観光など散策ができる町かどうかも考慮し、食べに行くのにおすすめを専門家が選んだ。
対象は主に戦後に誕生し地元で広く食べられている大衆料理。最近できたばかりの料理や古くからの郷土料理は除いた。
ご当地グルメの魅力の一つは価格。ランキングでも1000円以内の料理が並んだ。めん類や丼ものなど短時間で気軽に食べられるものも多く、何軒かはしごするのにも向いている。
日常的な料理が大半だが、工夫の上にできたものが多い。1位の富士宮やきそばのもちもちとしためんは「ビーフンの食感を作ろうとしたが、戦後、材料の米が不足。小麦粉で作った結果生まれた」(富士宮やきそば学会)。
4位のタコライスや5位の黒石つゆやきそばは、もともとあったタコスや焼きそばを「満腹感が得られるように」と改良して誕生。8位の今治焼豚玉子飯は、素早く栄養補給できるようにと考え出されたまかない料理だ。
現地に行き、どの店に入るかは悩むところ。そんなときにまず足を運びたいのはご当地グルメをもり立てる団体や地域の観光協会。食べ歩きマップを配布していることもあるので、地図を片手に本場の味を効率よく回れる。1位など、推進団体がアンテナショップを運営しているところもある。1軒目はこうした店に入ってみるのもいい。
地元のことは地元の人がよく知っている。「職場など自分の周りにいるその土地の出身者に聞いてから出かけるのが一番。出身地の情報を互いに交換し合えば話も盛り上がる」と、藤原浩さんはアドバイスする。
埋もれた一皿 発見に面白さ
上位10位のほかにも専門家おすすめの味は多い。福島県会津若松市の「ソースかつ丼」を推すのは小野員裕さん。「ラーメン店、食堂などどの店にもある食べ物。卵でとじた普通のカツ丼と違い、ウスターソースに浸ったボリュームあるカツが絶品」という。田沢竜次さんは名古屋市の喫茶店のメニュー「エビフライサンド」をすすめる。
今柊二さんが挙げるのは「トルコライス」。ピラフとスパゲティ、トンカツを一つの皿に盛った料理だ。長崎県のものが有名だが、「横浜・川崎地区にはケチャップライスの中にカツが入った長崎と違うタイプもある」という。地元以外にあまり知られていない味を発見するのも、ご当地グルメの旅の面白さといえる。
調査の方法 専門家の意見やガイド本などをもとに103料理を候補として選出。ご当地グルメや旅の専門家に、候補外も含めておすすめを挙げてもらい集計した。郷土料理(農林水産省「農山漁村の郷土料理百選」の郷土料理)は除いた。専門家は次の通り(敬称略、五十音順)。
井門隆夫(関西国際大学客員教授、旅館コンサルタント)、小野員裕(情報サイト「オールアバウト」B級グルメガイド)、小林しのぶ(旅行ジャーナリスト)、小林哲(大阪市立大学大学院経営学研究科准教授)、小松めぐみ(編集者・ライター)、今柊二(定食評論家)、田沢竜次(B級グルメライター)、田村秀(新潟大学法学部教授)、俵慎一(B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会=愛Bリーグ=事務局長)、藤原浩(日本フードアナリスト協会常任理事)、安田亘宏(西武文理大学サービス経営学部教授)、矢野直美(フォトライター)
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