庭にぬくもり 秋冬彩る花の苗
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品種改良で色や形 豊富
寒い時期に花壇やベランダなどを飾る花の苗が園芸店の店頭に並び始めた。秋から冬にかけて長く花が咲き、手入れが比較的容易な花の苗を専門家に選んでもらった。植物学的には「花」ではなくても、花のように楽しめるものは広く対象にした。
秋冬に楽しむ花の第一条件はもちろん、寒さに強いこと。春や夏に比べると花が少なくなる時期だが、改良が進み、寒さに強く、色や形も多彩な品種が増えてきた。薄いピンクや黄色など、明るく柔らかい色合いが人気だという。こうした花の代表的な存在が1位に入ったパンジー・ビオラだ。2位のガーデンシクラメンも約15年前に耐寒性が増すように改良された。
ただ、寒さに強い花でも、長く咲かせるには日当たりのいい場所で育てることが重要だ。特に4位のプリムラは「十分な日照がないと、色合いが薄くなってしまう」(金子明人さん)。また、霜や乾燥した冷たい風にはどの花も全般的に弱い。「寒波が来るときは室内に入れたり、不織布などをかけて防寒したほうがいい」(山田幸子さん)
水やりもポイントだ。気温が下がる夕方の水やりは水分が残って土が凍る恐れがあるため、気温がある程度上がった午前中に水やりするのがいい。空気が乾燥しているので案外土は乾きやすい。
花の少ない季節だからこその楽しみ方もある。徳田千夏さんは春に咲く球根から芽吹いてきた葉や常緑の植物を観賞することを提案する。「無理に花ばかりを飾るのではなく、葉の間を飾る程度に花を入れて楽しむのもいい」と話す。
氷点下の最低気温が続く地域や雪が積もる地域では耐寒性のある花でも屋外では育てにくい。室内で楽しむか、春咲きの球根を植えるのが無難だが、パンジー・ビオラなど品種によっては雪の下などで越冬できるものもあるので、近くの園芸店に相談してみよう。
球根ならチューリップ1位
秋は春に花が咲く球根を植える時期でもある。専門家におすすめを聞いたところ、1位になったのはチューリップだった。「いろんな品種を取り合わせたり、密植することで迫力ある庭になる」(向坂好生さん)。通常のチューリップは10日ほどで花の咲く期間が終わるが「冬の時期に1~2カ月間、花を楽しめる品種もある」(サカタのタネ)という。
2位は一重や八重咲きなど、幅広い種類から選ぶことができるスイセン。あまり手間がかからず、春の訪れを告げてくれる。3位は青紫色や白色の小さな花がブドウの房のように集まって咲くムスカリ。密植すると美しく「開花期が同じチューリップと合わせてもいい」(徳田千夏さん)。
調査の方法 園芸店で苗として一般的に売っているもので、プランターや花壇にそのまま植えてすぐに楽しめる花から選んでもらった。秋で枯れてしまうものは除いた。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
大出英子(目白大学短期大学部准教授)▽奥峰子(園芸文化協会理事)▽金子明人(園芸店「プロトリーフガーデンアイランド玉川店」副店長)▽菊川美菜子(東京都立神代植物公園職員)▽向坂好生(「趣味の園芸」編集長)▽佐々木秀典(日本ガーデンデザイン専門学校講師)▽玉崎弘志(ジャパンガーデンデザイナーズ協会会長)▽徳田千夏(ガーデンデザイナー)▽野里元哉(園芸店「陽春園植物場」副社長)▽山田幸子(園芸研究家)
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