「収益・意識・中身」の課題

最初の課題は収益性の見極めをどうするか。

計画では、会長(非常勤)の飯島一暢・サンケイビル社長、社長(常勤)の太田伸之・松屋常務執行役員のほか、槍田松瑩・三井物産会長、川村雄介・大和総研副理事長、高須武男・元バンダイナムコホールディングス会長ら社外取締役5人(非常勤)も含めて構成する「海外需要開拓委員会」が投資や株式売却などの方針を決めるとしている。

だが、仮に投資に失敗すれば税金で穴埋めしなければならず、逆に民間でも投資可能な案件を選べば「民業圧迫」との批判を浴びかねない。人員と時間が限られている中でどこまでチェックの目を光らせ、収益性を評価できるのか。まったく不安がないわけではない。

申請する企業側にも認識不足があるようだ。

「対象になれば政府からお金をもらえると思っている企業が少なくない。ファンドの出資は補助金ではない。損が出ないように回収する投資であり、それが民間出資の呼び水にならなくてはいけない」と小糸さんは注意を促す。内部の投資基準では(1)民間企業からの協調出資があること(2)適切な執行体制の確保――などの条件を明記しているが、短期的な収支だけにはとらわれないという機構の公的色彩もあるため、審査後の運用に甘さが出る恐れもはらむ。

7年メドに運用・選定を検証

投資案件の選択も難しい。

機構では「様々な企業・業種との連携や発信力、市場開拓の先駆け」を重視し、投資事例として(1)拠点となる空間(物理的空間/メディア空間)の整備・確保(2)M&A・合弁設立などを含めた海外需要の獲得・拡大(3)潜在力ある意欲的な地域企業の海外展開――などを挙げているが、クールジャパンの間口はかなり広い。

特定業種や似通った案件に投資が集中するのを避けなくてはいけないし、インフラの整備だけにとどまり、その後の収支や波及効果の検証を怠っていたら、せっかくの投資も無駄になりかねない。専門知識と柔らかい先見性を兼ね備えた選択眼が求められる。

「重要なのはいくつかの成功事例を早く作ること。それが民間出資の呼び水になり、運用資金もさらに拡大しやすくなる」と小糸さん。機構の存続は20年程度を想定しているが、設立からひとまず7年をメドに運用や収益、選定案件などを検証する方針だという。

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