エンタメ!

裏読みWAVE

「クールジャパン」ファンド始動、3つの課題 編集委員 小林明

2013/11/22

 アニメ、映画、音楽、食、ファッション、観光……。

 日本の文化やライフスタイルなど衣食住にかかわる製品、サービスの海外展開を支援する官民ファンド、株式会社「海外需要開拓支援機構」(クールジャパン推進機構)が11月25日から営業を始める。

 安倍晋三政権が掲げるアベノミクスの成長戦略の一翼を担う目的で経済産業省が主導。政府出資300億円、民間出資75億円の計375億円で設立。出資金は今年度末までに600億円(政府出資500億円+民間出資100億円)に増額する見通しだ。

 今後、どんなプロジェクトや企業を支援するのか?

 どのような方法で選考するのか?

 支援方法は期間はどう想定しているのか?

 クールジャパン戦略のけん引役として期待される同ファンドの仕組みや概要を紹介すると同時に、選考や運用で乗り越えなければならない課題などについてまとめた。

■「3つの不足」の解消が狙い

 「クリエーターやデザイナーや中小企業にはプロジェクトの中身が優れて十分に収益性も見込めるのに、資金が少なく(資金不足)、足がかりになる海外拠点や海外提携先もなく(拠点不足)、情報やノウハウ、ブランド力などの戦略も不足している(戦略不足)というケースが多い。こうした3つの不足をなんとか解消したい」。経済産業省・海外需要開拓支援機構準備室の小糸正樹室長は機構設立の狙いをこう語る。

 米コンサルティング会社A・T・カーニーの試算によると、文化産業5分野(ファッション、食、メディア・コンテンツ、観光、ものづくり・地域産品)の世界市場は2009年の463兆9千億円から20年には2倍の932兆4千億円に拡大する見通し。「そのうち日本企業の売り上げは現在2兆3千億円程度だが、20年までにこれを8兆~11兆円以上に増やす目標」(経産省)という。日本文化という「ソフトパワー」を生かして国内外で稼ごうという戦略だ。

■民間出資は15社、75億円で始動

 具体的には、クールジャパンの担い手となる有望な企業に出資し、民間資金の呼び水とするのが狙い。当初は100億円を民間から出資してもらう予定だったが、フタを開けると、民間分は75億円にとどまった。1社あたり5億円、15社で75億円を出資する。今年度末までにはこれを100億円に増やし、政府出資も300億円から500億円に増やす予定。機構の存続期間は約20年程度。短期的な視点でなく、長期的な視点から投資資金を回収する考えだ。

 機構の出資額は1件あたり数億~百億円規模を想定しているが、小糸さんによると、早くも非公式に40~50件(総投資額3000億円以上)の投資案件が寄せられているという。クールジャパンの担い手として有望な企業をうまく支援できれば、「(1)海外で日本ブームを起こし→(2)海外で日本企業が稼ぎ→(3)海外から日本に人を呼び込んで消費を促す――という連鎖が動き出す」(流通関係者)と期待が膨らんでいる。

 とはいえ、機構を運営するうえでの課題も少なくない。

エンタメ!新着記事

ALL CHANNEL