これは男性ホルモンが関係している。男性ホルモンには、体毛をより濃くし、逆に頭髪をより薄くする作用がある。そもそも西洋人は東洋人に比べて体毛が濃い傾向がある。だから薄毛率は「西高東低」になっているというわけ。

とはいえ、東洋人の頭髪は黒いので、薄毛になると白い地肌がどうしても目立ってしまう。このため薄毛に悩む日本人は潜在的に多いのだそうだ。

脱毛の種類を判別するには

脱毛の種類を簡単に判別できる方法がある。

抜けた毛を20本ほど集めて、虫眼鏡で毛根の形を観察してみるとよい。

毛根の主な形状や脱毛の分類をまとめたのが図2表3である。ここから読み取れるのが以下の6つの傾向だ。

(1)――正常な状態 マッチ棒の先のようにふっくらと丸く、何も付着物がついていない。



(2)――壮年性脱毛(若ハゲ) 形は正常に近くても、丸みが少なくて細い。10本中3本以上あったら壮年性脱毛の可能性があるという。壮年性脱毛は、毛根が男性ホルモンの影響を受けやすい体質(遺伝)を持っている人に自然に起きる現象。逆に言うと男らしさの証明でもある。額や頭頂部が薄くなるのが特徴だ。

(3)――円形脱毛 丸い膨らみがなく、ゴボウのように細く萎縮している。何の前触れもなく突然、円形に毛が抜ける。年齢、性別に関係なく誰にでも起こりうる。脱毛斑が1つの「単発型」、2つ以上の「多発型」、頭髪がすべて抜ける「全頭型」などがある。自分の細胞を異物として攻撃する自己免疫疾患が主な原因。自律神経失調やストレスなども関係しているとされる。

(4)――栄養不足による脱毛 先端がいびつに変形している。偏食や無理なダイエットなどにより、必要な栄養、ビタミン、ミネラルが不足することで毛が抜ける。

(5)――脂漏(しろう)性脱毛 正常な形をしているが、脂の塊が付着している。皮脂の分泌過剰で頭皮に皮膚炎が起こり、毛髪の発育が阻害されて抜けてしまう。壮年性脱毛と合併して起こることが多い。

(6)――粃糠(ひこう)性脱毛 白い付着物(フケ)がついている。シャンプーや整髪料が頭皮に合わないことなどが原因。乾いたフケがたくさん出ることで毛穴が詰まり、毛が抜ける。

このように髪の毛は心身の健康状態を示す重要なバロメーターになっている。ただ、抜け毛、フケ、髪の毛の損傷など、薄毛になる前の「薄毛症候群」に悩む男性は国内に1300万人以上もおり、年々、年齢も低下しているという。

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洗髪前にブラッシングを