高尾山1位 紅葉が美しいケーブルカー、ベスト10
紅葉狩りの季節がやってきた。公園など身近な名所もよいが、山を包む雄大な錦が楽しみたい。そう思う人には山の斜面を登るケーブルカーがおすすめだ。今回は全国のケーブルカーから、紅葉の景観が魅力的な路線を専門家に選んでもらいランキングした。
頂上からハイキングも
上位に入ったのは高尾山ケーブルカー(東京都)など都市近郊の路線。関西の高野山(和歌山県)や比叡山(京都府、滋賀県)の路線も入った。ケーブルカーは「深い木々の中を登る感覚が得られる」(村田博之さん)ため、近郊の標高の低い山でも、間近に迫る紅葉を楽しめることが大きい。紅葉の盛りが比較的長いことも評価された。
ケーブルカーは通常、急勾配に合わせ座席が階段状になっており、窓から外を眺めると紅葉の斜面と一体感が得られる。「六甲ケーブルなど屋根の一部がガラスの車両もあり、頭上にさしかかる紅葉も楽しめる」(寺澤秀治さん)という。
各路線とも頂上駅から散策ルートもある。ただし、紅葉シーズンは混み、乗車まで何時間も待つことがある。事前に混雑状況を確認し、余裕ある旅程を立てて出かけよう。
紅葉のトンネルをぬけ 日本一の急勾配が圧巻
展望台からは複数の登山道がある。薬王院を通る表参道コースなら山頂まで40~50分。「薬王院の紅葉も見事だが、登山道のつる植物や足下の草など小さい秋が見どころ」(寺澤秀治さん)。山頂から見下ろす谷いっぱいに広がる鮮やかな紅葉は格別。11月は「高尾山もみじまつり」が開催予定で、土日祝日にはます酒販売などのイベントがある。(1)11月上中旬(2)6分(3)1.0キロメートル(4)930円(5)京王線高尾山口駅から徒歩5分(6)042・661・4151
先頭車両で常願寺川の峡谷や森林を楽しむ
美女平から立山登山の拠点、室堂まで行けるバスに乗れば「車窓から錦織りなす眺めを堪能できる」(小川秀一さん)(1)10月中旬~11月上旬(2)7分(3)1.3キロメートル(4)1290円(5)富山地方鉄道立山駅乗り換え(6)076・432・2819
期間限定、夜間のライトアップも
10月から屋根にかけて曲面ガラスを採用した新車両になり、沿線の紅葉を楽しみつつ、眼下の相模湾を一望できる。11月14日から12月6日の金土日と祝日には夜間に紅葉ライトアップを実施し、最終運転時間を繰り下げる。車内のあかりが落とされロマンチックな雰囲気を楽しめる。(1)11月中(2)6分(3)0.8キロメートル(4)1100円(通常期)、1240円(繁忙期)(5)小田急線伊勢原駅からバスで30分の「大山ケーブル」(6)0463・95・2135
カエデが駅舎を赤く包む
10月31日から11月29日の土日祝日及び11月16~20日はライトアップを実施。20時まで運行され、夜の幻想的な紅葉が楽しめる(雨天時は中止)。(1)10月中旬~11月中旬(2)8分(3)1.6キロメートル(4)1050円(5)つくばエクスプレスつくば駅からバスで40分の「筑波山神社入口」(6)029・866・0611
赤く色づく木々、車窓でめでる
出発するとすぐに紅葉広がる
日本で一番長い距離を走るケーブルカー。「比叡山の紅葉と琵琶湖のコントラストが楽しめる」(本多美也子さん)(1)11月中(2)11分(3)2.0キロメートル(4)1620円(5)JR比叡山坂本駅からバスで7分の「ケーブル坂本駅」(6)077・578・0531
六甲山の玄関口。「夕暮れ時の黄葉を楽しみ、神戸の夜景に酔いしれる」(武川さん)(1)11月中(2)10分(3)1.7キロメートル(4)1000円(5)阪急電鉄六甲駅からバスで16分の「六甲ケーブル下」(6)078・861・5288
(1)10月下旬~11月中旬(2)4分(3)0.4キロメートル(4)660円(5)京都丹後鉄道天橋立駅からバスで25分の「傘松ケーブル下」(6)0772・42・0323
日本一の高低差561メートルのケーブルカー。(1)11月中(2)9分(3)1.3キロメートル(4)1080円(5)叡山電鉄八瀬比叡山口駅から徒歩3分(6)075・781・4338
<紅葉狩り この経路もお忘れなく>
終点の早雲山駅から出る箱根ロープウェーが、噴火警戒で現在運休中
全線地下で車窓の眺めは楽しめないが、到着駅黒部平の景観は雄大
紅葉のトンネルで知られるが、来年3月末まで修理・運休中
◇ ◇ ◇
表の見方 数字は選者の評価を点数にした。写真は各鉄道会社提供。(1)例年の見ごろ時期(2)ケーブルカーに乗っている時間(片道。乗り継ぎ時間は除く)(3)ケーブルカーの営業キロ(4)往復の大人料金(5)最寄り駅・バス停(6)問い合わせ先
調査の方法 専門家の助言を基にケーブルカー20路線を選定。車窓から紅葉が楽しめるほか、到着駅やその後の散策で眺められる景観も考慮に入れて選んでもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
小川秀一(風景写真家)▽武川俊二(社団法人日本山岳ガイド協会常務理事)▽寺澤秀治(写真家)▽野田隆(旅行作家)▽橋谷晃(山のガイド木風舎代表)▽本多美也子(旅行ジャーナリスト)▽南正時(鉄道写真家)▽三宅岳(写真家)▽村田博之(オールアバウト「名所・旧跡」ガイド)▽柳澤美樹子(旅・食・人のライター)
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