専門家が試食・推薦 お取り寄せコロッケ、ベスト10

秋が深まると、サクサク香ばしいコロッケが恋しくなる。揚げたてを食べたいのなら、名店から取り寄せられる冷凍コロッケがおすすめだ。衣をつけ、後は揚げるだけの状態にしたもので、適温(約180度)の油でゆっくり揚げれば、破裂などの失敗をせずにおいしく食べられる。
決め手は味・香り・コク
一般社団法人日本コロッケ協会(東京・港)の藤井幸大会長によると、コロッケのおいしさを決めるのは「味、香り、コクの3要素」。味はベースの素材、香りは調味料など、コクは油が左右する。そのバランスは繊細。夏と冬でパン粉を変える店もある。
コロッケがよく売れるのは意外にも4~5月。冬はクリームコロッケが人気を集めるという。最近は「二重包あん」で外はプリッ、中はトロッのクリームコロッケが注目株だ。
今回は取り寄せに対応する全国の専門店や精肉店、メーカーの商品のうちポテトベース、クリームベースのコロッケを取り交ぜて21種類を選抜。「自宅に常備したいごちそうコロッケ」という基準で、専門家に揚げたてを試食した上で、おすすめを選んでもらった。上位には各地名産の食材をふんだんに使った製品が並んだ。
クール便を使うため送料は割高だが、商品それぞれの揚げ方の指示を守れば、自宅で手軽に味わえる熱々のごちそう。各地の味を食べ比べるのも楽しい。

良質な肉がほろっとほどける
1個110グラム、長さ約10センチメートルの大判サイズで、付属の牛脂を溶かした油で揚げると香ばしさが増す。「牛脂を加えて揚げるこだわりは自信の表れ。良質な肉ならではの仕上がりに驚きがあるザ・牛肉コロッケ」(藤原浩さん)。「ごちそう感があり、おもてなしにも良い」(島本美由紀さん)。取り寄せは1日300個限定のため、2週間ほど余裕を持たせた注文が望ましい。材料が希少なため商品到着まで約10年待ちという「神戸ビーフコロッケ 極み」も扱っている。
(1)兵庫県高砂市(2)10個入り2700円(3)http://www.asahiya-beef.com/

口いっぱいにエビのうまみ
「クリームがおいしく、子ども受けをしそう」(池見貴之さん)。「エビのうまみが出ていてとてもおいしい。サクサクした食感も良い」(茂出木浩司さん)。店では季節のおすすめコロッケなども販売。店内ではランチも楽しめる。
(1)奈良市(2)ナチュラルポテトコロッケを6個を加えた12個セットで3445円(送料込み)(3)http://www1.kcn.ne.jp/%7Eellies/index.html

手ごろな価格とやさしい味
(1)鳥取県境港市(2)6個442円(3)境港市観光協会物産観光センターみなとまち商店街のサイト http://shop.sakaiminato.net/

米沢牛産地の総菜・弁当店の定番商品。国内産のジャガイモを使い、米沢牛のうまみを生かした。すき焼き風の甘めの味わいや、ほかにない丸く分厚い形が特徴的。重量は1個およそ100グラムで、たっぷりとパン粉をまぶされた化粧箱に入れられて届く。「衣がさっくりとしていて中身も甘みがある。肉のうまみも良く出ている」(池見さん)。「厚みがあってころりんとした形に心なごむ。ジャガイモの食感も楽しめる」(瀬戸さん)
(1)山形県米沢市(2)6個1620円(3)http://www.kohakudo.co.jp/

神戸・元町の精肉店が60年以上前から販売している行列ができるコロッケ。目の細かいパン粉を使った衣は薄く、油の吸収が少ないため冷めてもおいしい。タマネギと国産牛のミンチは牛脂でいためている。ジャガイモはメークインを使い、肉によく絡む。「ジャガイモらしい自然な風味とほくほくした食感が楽しめ、ホッとする味わい」(瀬戸さん)、「タマネギの甘みと風味がしっかりしていて、肉もたっぷり。男性も満足できる」(島本さん)
(1)神戸市(2)5個450円(3)http://www.moriya-kobe.co.jp/

名産の伊勢エビの身をペースト状にしたものに殻とミソを焼いた粉末を混ぜ合わせ、香ばしくまろやかな風味に仕上げた。旅館で提供する伊勢エビのフルコースの一品が人気を博し、持ち帰り店で売り始めた。電子レンジで解凍後に揚げることを推奨。「調理の手間はかかるが、エビの風味や味わいが段違い」(河瀬さん)。「価格は高めだがおいしい」(間野実花さん)。サイズが1.5倍の「超デラックス」もある。
(1)三重県伊勢市(2)10個3240円(3)http://www.ise-ebi.jp/
東京の専門店。基本の男爵コロッケはジャガイモの風味を生かす控えめな味付け。「オーソドックスなおいしさ。ごはんに載せたい」(斉藤賢太郎さん)。半解凍してから揚げる。
(1)東京都中野区(2)12個1440円(3)http://www.saigoutei.co.jp/
懐かしい"お肉屋さんのコロッケ"の味わい。東京・有楽町の「秋田ふるさと館」でも購入できる。「肉が多く歯応えを感じる。味が濃いのでソースなしで食べられる」(猪股理世子さん)
(1)秋田県大仙市(2)12個2520円(3)http://saitoseinikuten0298.com/
国産牛肉と豚肉を使い、下味をしっかり付けたポテトコロッケ。冷蔵室で自然解凍して揚げる。「肉じゃがを思わせる味の奥行き。冷めてもおいしい」(藤原さん)。百貨店催事にも登場。
(1)神奈川県葉山町(2)10個800円(3)http://www.hayama-asahiya.com/
数種類のナチュラルチーズを使ったポテトコロッケ。「チーズが効果的。意外にパンと合う」(増田剛己さん)
(1)群馬県高崎市(2)5個690円(3)http://www.hiraiseinikuten.com/
◇ ◇ ◇
表の見方 商品名のカッコ内は発売元。順位の右のポイント数は専門家の評価を集計したもの。(1)所在地(2)取り寄せしやすい個数と税込み価格の目安(3)ショップサイトのURL(記事中のリンクは掲載時のものです)
調査の方法 インターネットによる取り寄せに対応している全国のコロッケ専門店、精肉店、地場メーカーなどの主力商品を専門家の監修で21種類選んだ。試食会では象印マホービンの電気フライヤー「あげあげ」を使用。専門家10人に揚げたてを食べてもらい、主に「家庭の冷蔵庫(冷凍室)に常備したいコロッケ」の基準でおすすめを選んでもらった。専門家は次の通り(敬称略、五十音順)
池見貴之(三越伊勢丹食品統括部食品第三商品部総菜バイヤー)▽猪股理世子(料理人)▽河瀬璃菜(料理研究家)▽斉藤賢太郎(dancyu編集部)▽島本美由紀(料理研究家)▽瀬戸理恵子(フードエディター・ライター)▽藤原浩(日本フードアナリスト協会常任理事)▽増田剛己(オールアバウト散歩と食のガイド)▽間野実花(マノ料理学園園長・冷凍食品調理コンサルタント)▽茂出木浩司(たいめいけん三代目 専務)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。