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専門家お薦め 古典落語で気持ちも華やぐ初笑い

2015/1/4

どんな演目をやるのかはお楽しみ(東京都台東区の浅草演芸ホール)

有名な古典落語をCDやDVDで聴いて腹の底から笑いたい――。そんな人にお薦めの人気演目を、専門家に選んでもらった。ばかばかしい滑稽噺(ばなし)から心温まる人情噺まで、初笑いのネタは多彩だ。


1位 文七元結(ぶんしちもっとい) 305ポイント
■最後は皆に幸来る 人情噺の傑作。最後に登場人物みんなに思いがけない幸せが訪れ、感動的な笑いに浸れる。
主人公の長兵衛は腕のいい職人だが勝負ごとにはまって借金だらけ。一人娘のお久が窮地を救うべく、吉原の遊郭に自ら身売りしようとする。ふびんに思った遊郭の女将は長兵衛に50両を貸し与え、「1年で返せばお久を店に出さない」と言う。50両を懐に家路についた長兵衛は、集金した50両を盗まれて橋の上から身投げしようとしていた商家の手代・文七に出会う……。「古今亭志ん朝が演じた文七元結は名作中の名作」(川浪和名さん)
▼お薦め CD=古今亭志ん朝「落語名人会4」(ソニー・ミュージック、写真)、DVD=志ん朝「落語研究会古今亭志ん朝全集 上」(同)、三遊亭圓生「落語研究会六代目三遊亭圓生全集 下」(同)


2位 初天神(はつてんじん) 270ポイント
■今に通じる親子の姿 上方落語の人気演目で東京でもよく演じられる。すぐに物をほしがる子ども・金坊に甘い父親。毎年1月25日に開かれる天満宮の初縁日でも、金坊の「あれ買って」が始まる。やむなく凧(たこ)を買ったが夢中で揚げているのは父親の方で……。「現代の親子連れにもよくあることで、すっと入っていける」(佐藤友美さん)、「男親がいくつになっても子どもっぽいところもよく出ていて面白い」(京須偕充さん)
▼お薦め CD=金原亭馬生「なごやか寄席」(ユニバーサルミュージック)、柳家小三治「昭和の名人十代目柳家小三治 四」(キングレコード、写真)、笑福亭松鶴「てんこもり!六代目笑福亭松鶴全集」(日本音声保存)


3位 長屋の花見 255ポイント
■洒落た会話にたくましさ 上方落語の「貧乏花見」が東京で若干アレンジされた。貧乏長屋の住人たちはある春の日、大家の誘いで花見に出かける。だが、家賃を滞らせている面々に大家がすすめるのは、酒でなくお茶を煮出して薄めたものが入っている一升瓶に、ごちそうでなくたくあんなどしか詰められていない重箱で、一行は渋い顔。「花見の会話はとても洒落(しゃれ)が利いていて笑える」(安原真琴さん)、「庶民のたくましさがよく出ている。上方落語では三味線も入り、浮き浮きする」(京須さん)。
▼お薦め CD=柳家小さん「NHK落語名人選49」(ユニバーサルミュージック)、笑福亭松鶴「六代目笑福亭松鶴5」(日本伝統文化振興財団、演目は「貧乏花見」、写真)


4位 井戸の茶碗(ちゃわん) 250ポイント
■いい人同士の譲り合い 不用品を売買する清兵衛が浪人から仏像を買う。それを細川家の若侍が買い、磨いていると中から小判50両が出てきた。若侍は小判を返そうとするが実直な浪人は受け取らない。結局、浪人が手元の茶碗(ちゃわん)を若侍に与えて代わりに小判の一部を受け取ったが、今度は茶わんが名器と知れ、細川家の殿様が300両で買い取る。再び大金の珍妙な譲り合いが……。「皆、いい人だからすがすがしい」(中川悠さん)
▼お薦め CD=古今亭志ん生「古今亭志ん生名演大全集5」(ポニーキャニオン)、DVD=古今亭志ん朝「「落語研究会古今亭志ん朝全集 上」(ソニー・ミュージック)


5位 富久(とみきゅう) 235ポイント
■縁起の良さピカイチ 酒席の興を添える太鼓持ち・久蔵は富札(宝くじ)を買い、家の神棚に大切にしまい込む。だが外出中に家が火事で焼けてしまった。買った富札がなんと1000両の大当たりだったと知るが、札が焼けたのなら換金できないと言われてがっかり。このとき出会ったのが近所のとび頭。火事の際、久蔵の神棚を持ち出していた。「正月にぴったりの縁起の良い演目」(瀧口雅仁さん)
▼お薦め CD=古今亭志ん生「五代目古今亭志ん生16」(日本伝統文化振興財団)、DVD=桂文楽「落語研究会八代目桂文楽全集」(竹書房)


6位 火焔太鼓(かえんだいこ)
ぱっとしない道具屋が仕入れた薄汚い太鼓のほこりをとろうと小僧に叩かせていたら、通りかかった殿様の耳にその音が届き、屋敷に持参するように命じられる。おとがめかと道具屋はドキドキ。「ジェットコースターのように話に起伏があり、高揚感がある」(青木伸広さん)
▼お薦め CD=古今亭志ん生「五代目古今亭志ん生名演大全集2」(ポニーキャニオン)


7位 親子酒
商家の酒好きの大旦那が、やはり酒好きな息子を心配して一緒に禁酒しようと持ちかける。だが父親の大旦那は息子の留守中に酒を飲んでしまう。息子が帰宅して慌てるが、息子の方も何だか様子がおかしくて……? 「十代目金原亭馬生がダメな親子を肯定する温かさがあっていい」(和田尚久さん)
▼お薦め DVD=馬生「落語研究会十代目金原亭馬生全集」(ソニー・ミュージック)


8位 青菜
植木職人が、商家の夫婦の青菜を巡るしゃれた上品な言い回しに感動し、長屋で女房相手にまねをする。
▼お薦め CD=桂文我「三代目桂文我1」(日本伝統文化振興財団)


9位 饅頭(まんじゅう)こわい
いつも偉そうな男が「饅頭がこわい」と言うので、周りの若者たちが饅頭をたくさん買って懲らしめようとするのだが実は……。
▼お薦め CD=柳家小さん「五代目柳家小さん名演集7」(ポニーキャニオン)


10位 芝浜
仕事はできるが酒好きの魚屋が大金を拾う。そのお金で泥酔した翌朝、女房から拾ったのは夢だといわれる。夫婦愛を描く名作。
▼お薦め CD=桂三木助「昭和の名人三代目桂三木助 一」(キングレコード)


表の見方 数字は選者の評価を点数にした。お薦めのCD・DVDは落語の録音・監修を多数手がける録音エンジニアの草柳俊一さんに選んでもらった。落語CDは1枚2000円前後が多い。

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