山田さん「ほかにも注目された事例はありますか」

米国の主要なアクティビストが日本企業に投資しています。サード・ポイントはソニーグループに映画や金融部門の分離を求めました。これに対してソニーGは傘下企業の一体感を強め、「感動」(エモーション)という共通理念を打ち出すことにより、企業価値を高める戦略に出ました。アクティビストの要求とは正反対ですが、株主との対話をきっかけに経営戦略を再考した結果といえます。

オリンパスはバリューアクト・キャピタルから社外取締役を迎え、事業の立て直しを進めました。バリューアクトは化学大手JSRにも社外取を送り込んだほか、セブン&アイ・ホールディングスの株式を取得し、コンビニ事業への注力を求めています。

小平さん「影響力はさらに高まりそうですか」

アクティビストが重視するテーマは経営戦略や利益還元だけでなく、環境や人権に関連するESG(環境・社会・企業統治)にも及んできました。ESGアクティビズムという言葉も生まれており、企業は正面から向き合わざるを得なくなっています。

企業の投資家向け広報(IR)戦略が重要になってきます。事業やファイナンスの専門家だけでなく、環境・社会問題に通じた人材をIR部門に配置するなど、陣容を充実させる必要があります。アクティビストの声が経営に届きやすくなるよう、IR部門を経営トップの直結にするといった組織づくりも、今後は広がっていくでしょう。

ちょっとウンチク

環境アクティビズム台頭

2021年5月、米エクソンモービルの株主総会で環境重視の物言う株主の提案が可決された。米国ではこれ以外にも環境関連の提案が増え、賛同を集める。調査会社インサイティアによれば、環境関連提案は20年1年間の29件から、21年は6月中旬までに34件に増えている。平均賛成率も33%から45%に上昇している。

欧州連合(EU)が打ち出した包括的な「ネット・ゼロ」(温暖化ガス排出量実質ゼロ)政策が、米国発の世界的な環境アクティビズムの今後の追い風になるのは確実だ。メガバンクなどへの提案が始まった日本も、そのうねりの中にいる。(編集委員 小平龍四郎)

■今回のニッキィ
山田摂子さん 在留外国人の支援ボランティアを務めてきた。一緒に役所に行ったり学習支援をしたりしている。今は外出を控えているが、「オンラインで海外の人と交流するなどして活動の幅を広げています」。
小平綾さん 学生時代はフィギュアスケートに打ち込んでいた。チームで演技するシンクロナイズドスケーティングを近く再開する予定。「来年3月に発表会があるので、それに向けて練習に取り組みたいです」

[日本経済新聞夕刊 2021年7月26日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。