家計・人間関係… 今年の抱負、四字熟語傑作選
目標を決め、気持ちも新たに1年を過ごそうという人も多いだろう。そこで漢字4文字に託した今年の抱負を、「家計」「人間関係」「将来設計」の3つのテーマで日経読者モニターに聞いた。既存の成語やモニターがつくった言葉から視点の面白いものなどを専門家に選んでもらった。
<家計編>
増税あるし、買い物はよく考えて
選者から 4月に消費税率が5%から8%に引き上げられる。「『深謀遠慮』をもじって将来のための辛抱に」(佐藤真由美さん)、「景気は上向きとはいえ、所得が伸びにくいであろう若年層の気持ちがよく表れている」(丸山晴美さん)
休肝日つくって財布にも優しく
選者から 「毎日してこその晩酌をあきらめ、隔日にする『隔日晩酌』(かくじつばんしゃく)は潔さがよい。亭主関白だったに違いない男性の家計への遠慮がほのみえる」(泉原省二さん)、「節約と健康増進の一石二鳥。隔日という無理をしないところに継続の秘訣を感じた」(中野じゅんさん)
自分の将来に投資しよう
選者から 投資熱も高まりつつあるこのごろ。「漢字の用法も適切で、元の『自問自答』を踏まえたもじり方もよい。世相をとらえている」(武田京さん)、「投資という言葉からは将来の展望も感じられる」(小原美穂さん)
NISA始めたし経済沸いて
選者から 「世の中のあちこちで景気のよい話題が出るイメージ。『八方』と『発泡』の置き換えがよい」(吉田伊公子さん)
家に眠っているものないかな
選者から 「家庭内リサイクルは最も身近な家計防衛法」(今井登茂子さん)、「タンスの肥やしを見直す」(西野樹美子さん)
カードで分割払いなんてもってのほか
自分だけでなく、子どもと一緒に
<人間関係編>
長生きする両親に孝行
選者から 「亡き父母の恩を思う『哀哀(あいあい)父母』から、今は長生きしている父母に孝行しようという気持ちが『愛愛』にある」(堀内正範さん)、「親子共に白髪になる仲の良さが一番」(泉原さん)
ほほ笑みは人を助ける
選者から 一期一会(いちごいちえ)と同音にし、「茶道の誠意を笑みと見立てた絶妙さ」(泉原さん)。暗いニュースも多い昨今だからこそ「笑顔はそれだけで人を助ける力がある」(今井さん)
どんな時でもプラス思考で
選者から 「こう思うだけで関係が豊かになりそう」(小原さん)、「よいもの、よいところを見る習慣をつけたい」(西野さん)
SNSだけの希薄な関係やめる
職場を越えて飲みに行こう
今年こそ老後の安心を
物言う部下とも上手に付き合う
<将来設計編>
無理せず健康に気を遣おう
選者から 長寿社会においていかに元気に長生きするかは大きな課題。「老化現象とあきらめずに減少させようというたくましさ」(小原さん)
ボランティアで生き生きと
選者から 「定年を迎え、ボランティアなどに生き生きと励んでいる姿が目に浮かぶ明るい言葉」(堀内さん)、「私をいかすことが組織のためにもなるという心に刻みたい名言」(佐藤さん)
年を重ねても笑顔でいたい
選者から 「一笑千金(いっしょうせんきん)は美しい人を形容する言葉だが、これは周囲が明るくなるとの思いがよい」(堀内さん)、「笑顔に勝る宝はなし。男女ともに生き方としての将来設計の理想」(今井さん)
頑張る自分を褒めよう
どんな老後を送ろうかな
いくつになっても若者に負けない
朝にいい汗かいてスッキリ
表の見方 四字熟語(作者の年齢性別、都道府県名)とその言葉に込めた思い。
■増税・SNS・終活… 世相映す
家計編では、景気は上向きつつあるものの、節約に関するものや4月の消費税率引き上げなどをにらんだものが多く寄せられた。
人間関係編では会社や家族関係のほかに、友人に言及したものが多く、特に交流サイト(SNS)などの普及を思わせる作品が多い。インターネットを通じてたくさんの人と連絡を取り合えるのだが、一方で関係性が希薄で、本質的なつながりを求めている様子がうかがえる。
長寿高齢化を色濃く反映したのが、将来設計編。健康や自らの生き方、人生の締めくくり方に向き合うが、全体に未来への期待やワクワクした感じがみられ、「幸せに暮らしていけそうな言葉や元気の出る言葉が多かった」(佐藤真由美さん)。今年もウマくいく1年でありますように。
◇ ◇ ◇
調査の方法 12月上旬、日経新聞の読者で構成する「日経生活モニター」を対象に2014年の抱負を四字熟語で募集。テーマを「家計」「人間関係」「将来設計」の3つに分けた。集まった熟語の中からモニターが考えたものなどを中心に語呂のよさや世相をよく表しているものなど69作品を候補とした。四字熟語や家計、人間関係に詳しい専門家や編集者など専門家11人に選んでもらい、点数にして順位をつけた。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)
泉原省二(研究社「日本語類義表現使い分け辞典」著者)▽今井登茂子(コミュニケーション塾主宰)▽小原美穂(博報堂生活総合研究所上席研究員)▽佐藤真由美(歌人、集英社「恋する四字熟語」著者)▽島田昭彦(京都精華大学非常勤講師、京都観光おもてなし大使)▽武田京(三省堂「新明解四字熟語辞典」編集部)▽中野じゅん(住友生命保険「創作四字熟語」担当者)▽西野樹美子(淑徳大学非常勤講師、マナー&コミュニケーション)▽堀内正範(「知恵蔵」元編集長)▽丸山晴美(ファイナンシャルプランナー、節約アドバイザー)▽吉田伊公子(旺文社ブック事業部第二書籍編集部国漢辞書グループマネジャー)
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