デビュー曲は悔しさだらけ レコード売れずに落ち込むバンダイナムコアーツ 副社長 井上俊次氏(6)

「Hey! I Love You!」は作曲が馬飼野康二氏、作詞が森雪之丞氏だった=ソニー・ミュージックダイレクト協力
「Hey! I Love You!」は作曲が馬飼野康二氏、作詞が森雪之丞氏だった=ソニー・ミュージックダイレクト協力

市場規模が膨らんだ「アニメソング(アニソン)」ビジネスの立役者の一人がバンダイナムコアーツの井上俊次副社長です。1970年代にロックバンド「レイジー」で一世を風靡しました。井上氏の「仕事人秘録」の第6回では、失敗が続いたデビュー当時の秘話を明かします。

<<(5)アイドル路線で売り出し 社長はハードロック嫌い
(7)背水の陣で待望のヒット アイドル扱いにも慣れ >>

1977年7月にレイジーはデビュー曲「Hey! I Love You!」を発売した。

デビュー前から情報番組「ぎんざNOW!」に出演していました。「大阪にすごいバンドがいる」というムードを演出する映像も制作しました。ぼくらがステージで演奏していて、会場が「ワー」「キャー」と大盛り上がりの映像です。

これには裏があります。所属事務所が人気アイドルグループのベイ・シティ・ローラーズの映像を上映するフィルムコンサートを開きました。レイジーはスクリーンの向こう側で待機です。コンサートの最後、スクリーンを上げてレイジーがベイ・シティ・ローラーズの曲を弾き始める。すると「無名のバンドが勝手に弾くな!」とファンは大激怒しますが、ちょっと引いて撮影すると盛り上がっているように見えました。

テレビ出演の効果でレイジーはそれなりに話題の新人になっていました。そして7月24日、遊園地「としまえん」でデビューライブです。意気揚々と乗り込みましたが、観客は100人も集まりませんでした。レコードもまったく売れない。それまで良い雰囲気だっただけにみんな「ガクッ」って肩を落としていました。

デビュー曲がさっぱり売れなかったので、2曲目「カムフラージュ」は少し方向転換しました。当時売れっ子のピンク・レディーでヒット曲を飛ばしていた都倉俊一さんに作曲をお願いし、かまやつひろし(ムッシュかまやつ)さんのセッティングで作詞は松任谷由実さんに決まりました。「これでダメならどうするの」というくらい最高の組み合わせです。でも、期待通りにはいきませんでした。

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら