「ワニワニパニック」誕生 トイレでつかんだ大ヒットバンダイナムコホールディングス元会長 石川祝男氏(8)

石川氏が開発した「ワニワニパニック」は大ヒットした(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
石川氏が開発した「ワニワニパニック」は大ヒットした(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

2018年6月にバンダイナムコホールディングスの会長を退任した石川祝男氏は、文化の異なるバンダイとナムコの経営統合に誰よりも前向きで、両社の文化融合に尽力しました。石川氏が社員に伝え続けた「元気よく暴走しなさい」というメッセージでした。その石川氏の「仕事人秘録」。第8回ではヒット商品「ワニワニパニック」の誕生秘話を語ります。

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「動物に襲われる」着想

会社に損害を与えた私は焦っていました。そんなある日、出勤前に自宅のトイレで踏ん張っているとアイデアが降ってきたのです。当時は「もぐら退治」が流行していましたが、地面ではなく正面から向かってくるゲームはどうか、とひらめいたのです。

急いで会社に向かうと、デザイナーの三枝芳宏さんがいました。襲ってくる動物の候補ではゴキブリやサメなども考えましたが、ワニが気に入りました。

試作機を武器に上司を説得

三枝さんは絵がうまく、早速デザインを描いてくれました。企画書を当日の午後イチに上司に見せますが、「もぐら退治の二番煎じ」と一蹴されました。

違いを言葉で説明しても納得してもらえません。それならば試作機を作ろう。すぐに部下に材料を買いに行かせます。動物のスリッパを棒の先端に付け、5つの穴を開けた段ボールから出し入れする試作機を作ります。段ボールの後ろで部下が「たんたか・たんたか」とBGMを歌います。

試遊した上司から「思ったより面白い」と言ってもらえました。当時は複雑な手続きはなく、上司が「やろうよ」と言えばそれが製品化の合図でした。

前回の失敗を生かし、自分の娘や子供たちに遊ばせてワニの動く速さや台の高さを調整しました。ワニが近づきすぎると減点するアイデアも加えました。

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