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ニッキィの大疑問

太陽光発電、どう変わる? 買い取り優遇が期限切れ

2019/7/1

――海外ではどうなっているのでしょうか。

欧州ではFITを導入して再生可能エネルギー比率を高める一方、新事業に投資をしています。そして負担の大きな固定価格から入札方式への移行を進めています。太陽光だけでなく陸上風力、洋上風力など多様な手法を導入しているのも特徴です。環境ビジネスへの新規投資は、雇用も生み出しています。

日本は再生可能エネルギーの構成比を17年度の16%から30年度に22~24%にする目標を立てました。ただ、送電線の能力不足などの課題を解決しようという動きは鈍く、このままでは達成は難しいとみられています。FITの見直しも、太陽光普及にブレーキをかける動きにならないよう配慮すべきでしょう。

――これからどうなっていくのでしょうか。

FITが終了しても、再生可能エネルギーの利用が広く浸透していくには、蓄電池の普及がカギでしょう。太陽光の発電分を売るか、自分で使うかを決めるには、各家庭に数日分の電気を賄えるような蓄電池があることが重要です。電気自動車のバッテリーで代用する方法もありますが、最近は蓄電池の価格も下がりつつあり、市場が大きく成長する気配です。

家庭で最も容易に導入できる再生可能エネルギーはやはり太陽光であり、世界的にみても発電設備導入は今後も右肩上がりで増大するでしょう。並行して導入コストが下落し、その結果価格も下がって、液化天然ガスや石炭火力による電気の価格を15年時点で下回ったとみられています。集合住宅や都心部でどう対応するかとの問題はありますが、災害時のリスク対策としても、まずは蓄電池の導入が先行するかもしれません。

■ちょっとウンチク 次世代産業の育成失敗

10年前にFITが始まった背景には、再生可能エネルギーの普及・拡大以外に日本の太陽電池メーカーの成長支援という狙いもあった。手元にある2007年の太陽電池生産量の世界シェアを見ると、10%弱で2位のシャープのほか京セラなど計4社がベスト10にランク入り。だが、17年の上位メーカーをみると10位以内に日本勢はゼロ。07年に1社だった中国メーカーが7社に増えている。

ここに来てのFIT廃止の動きは「太陽光バブル」と呼ばれた買い取り費用の膨張が理由といわれる。それだけでなく次世代産業育成の観点からも政策の失敗が透けて見える。

(編集委員 安西巧)

■今回のニッキィ
岸 雅子さん コピーライター。東京駅前のビルにある東京大学の博物館にぶらりと寄り、思わず見入ってしまった。研究資料や動植物の標本が豊富に並ぶ。「知的好奇心が刺激されました」
内田 厚子さん 社会保障教育講師。「大阪周遊パス」で大阪を満喫。観光スポット40カ所以上無料、交通機関も乗り放題で1日2700円。安さに驚いた。「また行きたい。東京にも欲しい」

[日本経済新聞夕刊 2019年6月24日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。

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