敵はコンビニ 「ちょい飲み」に活路、屋台ムード演出
ハイデイ日高会長 神田正氏(10)

「ちょい飲みできる店」を強調した「赤日高」(東京都新宿区、日高屋西新宿1丁目店)
ラーメン店「日高屋」の創業者、神田正・ハイデイ日高会長の「仕事人秘録」。コンビニエンスストアを「仮想敵」に据えて、業態を磨き続ける神田会長が、次に目指す「日高屋」のありようとは?
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常に磨きをかけないと色あせるのが「修正主義マーケティング」だ。神田氏の気づきは休むいとまがない。
客の来店動機は味、立地、値段だと思っています。安さにこだわりながらも、競争力を高める余地がまだあります。
中華は火力が命で、強い火力だからこそ家庭では出せない味や食感を提供できます。ところがその強みは、調味タレや野菜を投入するタイミングを間違えるだけで失われます。味がぼやけたり野菜の歯応えが緩んだりしてしまうからです。そういうところの技術指導や教育を徹底すれば、リピーターがもっと増えると思っています。
12期もの間、増収増益を続けるには、それなりに日々、変化を遂げなければなりません。小さなテコ入れの積み重ねが大きく効いてきます。
店先に赤提灯(ちょうちん)を吊(つる)してはどうか、と2年前に提案しました。思いつきと思われるかもしれませんが、狙いがありました。「日高屋」を締めのラーメン屋ではなく「ちょい飲み」ができる店、として広く知ってほしかったのです。屋台のラーメン屋の風情が好きで、ずっと目指してきました。それを象徴するのが赤提灯です。
狙いは当たりました。既存店売上高の底上げ効果があり、ここ2年間、消費減退の影響も最小限に抑えられています。アルコール類の売上比率は3ポイント上がりました。「ちょい飲み」はいまや外食の時流で、赤提灯をあしらう演出もあちこちで見かけるようになりました。
もっと「ちょい飲み」を強調したいと、看板にも大きく「ちょい飲み」と入れてみました。モデル店舗は8月に開いた東京・西新宿の店などです。看板が白地から赤地に変わったので、社内では「赤日高」と呼んでいます。順次、「日高屋」の看板を掛け替えようかと、検討しています。