効率化の先におもてなし IT・ロボ使いこなす
ロイヤルホールディングスの黒須康宏社長
ロイヤルホールディングスの黒須康宏社長兼COO
人手不足が深刻で、従業員の働き方改革も課題となっている外食業界。その中で挑戦的な取り組みをしているのがロイヤルホールディングスだ。完全キャッシュレスや配膳ロボットを導入したユニークな店舗を相次ぎオープン。黒須康宏社長は「業務の効率化を追求すればお客様の満足度をもっと高められる」と意気込む。
――主力のロイヤルホストは客単価が安定しています。消費者の価格への反応は足元で変化がありますか。
「数年前から低価格を求めるお客様と、少しだけぜいたくを求めるお客様の二極化が進んできました。最近はぜいたくしたいというニーズの単価がだんだん上がってきている気がします」
「この前のフェアでは3000円を超えるメニューが出た数では一番でした。もっとお安い物も3、4品あったので、想定外でした。でもこれはもろ刃の剣なんですね。3000円の商品を召し上がっていただいて、『なんだこんな商品か』だとか『こんなサービスか』というのでは信頼をどんどん失っていく」
――ロイヤルホストは店を増やすよりも収益力を上げる狙いですね。
「付加価値向上戦略だと思っています。したがって守備範囲をあまり広げない。逆に狭くしたんですよね、去年から営業時間を短くしました」
――営業時間を減らして逆に売上高が増えたそうですね。まさに逆転の発想。
「そこまでは想定していなかったです。営業時間短縮では7億円の売り上げを捨てる覚悟が必要だったんです。大きな経営判断でした。ただ現場の人たちと対話して、やはりストレッチしすぎていると感じていました。早朝と深夜の営業は人手を集めるのも厳しいし、パート・アルバイトが休む場合は店長がカバーしなくてはいけません」
「営業時間短縮でランチやディナーなどお客様が一番来る時間帯に人員を多く配置でき、サービス向上にもつながりました。従業員が満足し、顧客満足度も高めるのが狙いでした。経営と現場で一体感ができたのが一番うれしかったです」