東南アジア最近の政情は? 広まる強権、中国の影響も

14年に軍事クーデターが起きたタイでも、軍政が言論統制を強め、民政復帰に向けた総選挙を何度も先延ばししてきました。マレーシアで起きた「まさか」の政権交代が、事実上の一党独裁が続くシンガポールなども含め、既存政治に不満を持つ周辺国の有権者の投票行動へ影響を与える可能性は否定できません。

――どうして強権的な動きが相次いだのですか。

第2次大戦後、次々と独立した東南アジア主要国は、経済成長を優先し政治的自由を制限する「開発独裁」が続きました。しかし1986年、フィリピンでマルコス政権を倒した「ピープルパワー革命」をきっかけに、本格的に民主化が始まりました。88年にタイ、98年にインドネシア、2010年にはミャンマーが民主化にカジを切りました。

成長により中間層が増えれば、民主主義の価値観が浸透します。そうすれば自由競争が促進され、さらなる経済発展につながるというのが欧米や日本の経験則でした。ところが「民主化の優等生」とされたタイで21世紀に入って2度もクーデターが起き、フィリピンでも人権軽視が目立つドゥテルテ大統領が絶大な支持を得ています。

米国に代わり影響力を強める中国は、民主化を拒み、共産党の一党独裁下で急激な成長を遂げました。成長率が鈍化気味の東南アジア各国で、中国を手本とみなす雰囲気が広がっていたのも事実です。

――日本で東南アジア情勢への関心が高いのはなぜですか。

1985年のプラザ合意後の円高で、日本企業は安い労働力を求め東南アジアへの投資を本格化しました。当初は輸出基地の位置づけでしたが、豊かになるにつれ内需を狙った投資も増えています。製造業の直接投資の累計は約10兆7600億円(16年末時点)と、中国向け以上です。

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