東南アジア最近の政情は? 広まる強権、中国の影響も
マレーシアのマハティール首相は92歳で首相に返り咲いた
東南アジアについて、それぞれの国の政治の進め方に対する関心が高まっているようね。マレーシアでは政権が代わったけど、強権的な姿勢の目立つ国もあるようだわ。日本との関係はどうなるのかな。
東南アジアの政治や経済の流れなどについて、海老沢亜希子さん(32)と内田厚子さん(67)が高橋徹アジア・エディターに聞いた。
――2018年5月のマレーシアの政権交代はなぜ注目を集めたのですか。
2つ要因が挙げられます。まず1957年の独立以来、旧与党連合「国民戦線」が権力を握り続けた同国で、初めての政権交代だったことです。さらに新首相に就いたのが、92歳という高齢のマハティール元首相だったためです。
ナジブ前首相の汚職疑惑や強権姿勢に国民は批判を強めていました。離反票の受け皿となったのが、ナジブ氏を批判して国民戦線を離れ、野党連合を結成したマハティール氏でした。
同氏は2003年まで22年間、首相としてマレーシアを高度成長に導きました。半面、言論や野党を弾圧する強権政治家の一面も知られていました。今回の政権交代は間違いなく民意を映していますが、「マハティール氏への先祖返り」をした同国の民主化の進展ぶりを、はっきり評価できる段階ではないでしょう。
――周辺の国にはどんな影響を及ぼすのでしょうか。
東南アジアでは今後、相次ぎ国政選挙があります。7月にカンボジアが総選挙を予定するほか、19年はタイ総選挙とインドネシア大統領選、20年にはミャンマー総選挙が控えます。シンガポールも21年までに総選挙を実施します。
こうした国々は、このところ強権的な政治が目立っていました。カンボジアのフン・セン政権は昨年、国家転覆を謀ったとして、最大野党を解党に追い込みました。13年の前回総選挙で野党に追い上げられ、政権維持に手段を選ばなくなったとみられます。