話の脱線防ぐ「仕切りフレーズ」 議論をかじ取り

場の雰囲気を和ませないと、本題の話が進みにくくなってしまいます。緊張した状態が続くと、議論を進めるのに役立つ思い切った提案をしにくくなってしまうからです。場の雰囲気を和ませるというのは、会議や商談を効率的に進めるうえでの極意とも言えるでしょう。

気まずい雰囲気を変える

では、どうすれば場の空気がやわらかくなるのでしょう。ムードチェンジに役立つのは、相手に水を向けるキーフレーズです。たとえば、相手が会話に入れず、困った様子ならば「○○さんは、どう思いますか?」「〇〇さんの意見を聞きたいなあ」といった具合に相手をソフトに巻き込んでいきましょう。

長い沈黙が流れたり、会話が行き詰まったりしたら、「私はこう思うのですが、〇〇さんはどうお感じになりますか?」「この件に詳しい〇〇さん、お教えいただけないでしょうか?」などと切り出せば、相手は会話に入りやすくなり、よどんだ空気が動き出します。異なる視点が加わる点でも議論に有益です。

逆に、NGの物言いもあります。しらけたムードが流れていると、無理に盛り上げようと、「どうしちゃったの? お葬式みたいだね」とか、「じゃあ、ちょっとすごい話をしちゃおうかな。聞きたい?」などと、おどけた調子で言い出す人がいます。雰囲気を変えたいという意欲は買いますが、これらはあまり有効ではありません。

特に注意したいのは、気まずい雰囲気が流れる場で、自分の知識を持ち出すことです。年長者の多い場ならば、なおさらです。むしろ、相手を立てる会話を意識して、「俺が俺が」と身を乗り出すような態度は差し控えるべきでしょう。

誰かがしゃべりすぎると見えたら、「ここでいっぺん整理してみませんか」「要するに」「結局のところ」「かいつまんで言えば」などのまとめ系キーフレーズを使って、その人の独走を抑えてしまいましょう。要約する形でいったん引き取って、本来の望ましい道筋に議論をセットし直すと、「仕切りのうまい人」という印象を与えることができて、その後の議論をリードしやすくなります。

たとえ自分が知っていることであっても、「○○さんはどう思いますか?」と振って、別の人の口から答えを引き出すような姿勢で臨むのが、人間関係を円満にし、場の雰囲気を和ませる会話になります。特定の誰かに話し手を集中させないで、参加者のあちこちから声が上がるような立体的な運びを心がけることも、やわらかいムードを保つうえで役に立ちます。

次回は、会話が滑ってしまったときのリカバリーについてお話しします。お楽しみに!

「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は11月15日の予定です。

臼井由妃
ビジネス作家、エッセイスト、講演家、経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫) 公式サイト http://www.usuiyuki.com/
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