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本場四川の火鍋を東京で モツを主役に、スープも多彩

2017/8/17

手前が中国南部で好まれるごま油だれ、奥が北部で人気のごまだれ

張さんに中国で人気のたれを聞いてみると、「北部はラム肉と相性がいいごまだれをよく食べます。南部はごま油とニンニクを合わせたものですね。ごま油は缶で出す店もあるんですよ。小さな缶を一人一缶出すんです」。そんなに出してもごま油が大量に余ってしまうだろうとピンとこなかったのだが、張さんに実際、中国流のごま油だれを作ってもらうと合点がいった。

たれ用の小鉢が半分満たされるぐらいまで、なみなみとごま油を入れたからだ。これに、たっぷりときざみニンニクを入れ、オイスターソースをさっと回し入れる。北部で人気のごまだれも作ってもらうと、店特製のごまだれに腐乳(フー・ルー、豆腐の発酵食品)ときざんだ万能ネギを合わせていた。

脂身たっぷりの豚肉の唐揚げ 鍋の具材とするほか山椒塩を付け食べたりする

6割が中国人客だという店内を見回すと、定番の麻辣スープと白湯の組み合わせで食べているグループが多かったが、そこは色々試してみたい日本人。4種類のスープが味わえる鍋をオーダーしてみる。

選んだのは定番2種のほか、キノコ、高菜スープだ。具材は、肉や魚介類、野菜など80種ある中から、四川流に牛のハツモトとカモの腸、中国で人気のある野菜トウガン、ヤマクラゲなどを頼んでみた。変わり種は、四川では鍋の具材として人気だという豚の唐揚げ。

スープを含み、たれが絡んだエビのつみれ これも人気の具材

コリコリとした食感のハツモトは日本でも焼き肉店などで目にするが、カモの腸を食べるのは初めて。細くて長い、頼りなさそうな食材に見えたが、食べてみると思いの外しっかりとした食感があり、食べがいがある。唐揚げも意外な具材だったが、衣にスープが浸み込み鍋を存分に楽しめる具材であることを発見。やはりしっかりスープを含む食材であるトウガンは、漢方にも使われる野菜でお国柄が表れている。

先に紹介した2種類のたれのうち、四川の人の定番だれはごま油だれ。食べてみると、激辛の真っ赤な麻辣スープで煮込んだ具を食べるのに、このたれがうってつけだということに気が付いた。辛さが油でコーティングされマイルドになるのだ。ニンニクのピリッとした辛さもアクセントになる。

高菜スープに入った高菜の漬け物 酸味が強くさっぱり

薬膳風で体に良さそうな白湯やキノコスープもいいが、印象的だったのが高菜スープ。四川や重慶の名物料理で、青菜の漬け物と魚を煮込んだ「酸菜魚(スアン・ツァイ・ユー)」からアイデアを得たスープとのことで、とても酸味が強い。高菜の漬け物もたっぷり入っていて、これと一緒に鍋の具を食べればつけだれいらず。暑さでくたびれた体をすっきり元気にしてくれる味だ。

立秋は過ぎたものの、まだまだ夏は続く。長い歴史が育んできた中国の火鍋で体をリセットしてみるのもいいだろう。

(フリーライター メレンダ千春)


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