会話をスムーズに終える技 次につなぐ決め文句

トークが盛り上がると、かえって切り上げタイミングが難しくなる PIXTA
トークが盛り上がると、かえって切り上げタイミングが難しくなる PIXTA

「会話を、どんなふうに終えたらよいのか?」――。これは、話が得意ではない人はもとより、人付き合いに自信のある人でも頭を悩ませる問題でしょう。

あいさつを交わし、自己紹介をしたうえで、互いに質問をしたり答えたり、共感や協調を生みながら会話が進み盛り上がる。共通する話題が見つかれば、それは楽しいひとときとなります。

しかし、ここからが問題なのです。相手から興味深い話題を振られても、もっと話を聞いていたくても、ずっと話を続けるわけにはいきません。アポイントの時間が迫っている。これ以上、話を進めたら尻切れトンボの形で退席しなければいけない。でも、相手はもっと話をしたい素振りを見せている。こんなときは困ってしまいますね。

以前、営業で訪れた会社で契約が済んだあと、先方の社長と趣味の釣りの話で盛り上がりました。最初は釣り場情報や釣果を語る程度でしたが、「魚拓を見せたいから、これから自宅に案内する」と言われたときには困惑しました。

大きな注文を頂いたので、社長の気分を損ねてはいけない状況です。しかし、帰りの新幹線の時間が迫っています。こういうときは誰でもそわそわするものです。腕時計をちら見したり、携帯に触ったりした末に、「トイレをお借りできますか?」とインターバルを終えたのち、「それではこの辺で失礼します」となるのが、普通でしょう。

でも、それは別れのあいさつです。盛り上がった会話は、置き去りになってしまいます。そこで、覚えておいてほしいのが、スマートに会話を終えるコツです。

切れ間なく話をしている相手を前にすると、どこで終止符を打てばよいのかに悩みます。しかし、いきなり「次のアポイントがあるので失礼します」「帰りの新幹線に乗り遅れるので失礼します」では素気ない印象を与えてしまいがちです。

サービス精神が旺盛な相手ならば、こちらが興味を示しているのを見て熱心に話をしている場合もあります。そこに別れのあいさつをばっさり切り出されたら、「ずいぶんとクールだな」という気持ちにもなるでしょう。

余韻残すフレーズで再会に期待持たせる

そこで私は、別れをいきなり切り出すのではなく、「関係をつないでいきたいという気持ちを込めた言葉」を、別れのあいさつに添えています。キーワードは「期待感」です。

次につながる会話は関係の発展にもつながる PIXTA

「次回もこの話で盛り上がりましょう」「ぜひまた聞かせてください。楽しみにしています」といった「再会を望む一言」を別れの言葉に添えるのです。たとえばこういった言い回しです。

「それは興味深いですね、次回もっとおうかがいしたいです。きょうは先約がありますので、これで失礼します」

「もっとお聞きしたいのですが、次のアポイントがありますので、そろそろ失礼いたします。次回を楽しみにしています」

「きょうは勉強になりました、また教えてください。これで失礼します」

それぞれに「また会いましょう」「会いたいです」という関係をつないでいきたい気持ちが込められています。こういった言葉を聞くと、相手は事務的ではない、丁寧な心を感じます。立ち去った後の余韻が残り、また会いたいと相手に思ってもらえるのです。

話し相手をムッとさせてしまう「早く帰りたい」ムードのしぐさ

会話を終える際、ついやりがちなのは、次に挙げるような行動です。

時計をちらちらみる(時間がないのか、会話に退屈しているのか分からない)

目が泳ぐ(話を真剣に聞いていないと受け取られかねない)

退席する理由をぐずぐずと述べる(あいまいな態度のせいで、また会いたいと思ってもらいにくい)

帰り際のあいさつがうまく言えないという人は「急ぎの仕事の連絡が入りましたので、きょうは失礼いたします。もっとお話をうかがいたいのですが、残念です」などと切り出す手があります。携帯電話に勤め先から連絡があったように振る舞って、ぐずぐずせずに会話を終えるとよいでしょう。

ただ、「次回もこの話で盛り上がりましょう」「ぜひまた聞かせてください。楽しみにしています」と伝えたからといって、再会したらすぐにその話を切り出すのは避けたほうが賢明です。相手は前回の話題など覚えていないのが普通だからです。興味がなくなっていることが多いでしょうし、今はもっと話したいことが別にあるかもしれません。

だから、相手がその話題に触れない限り、こちらから切り出す必要はありません。相手が「この前の話だけど……」と口火を切ったら、「その話をいつしてもらえるのか、待っていました」「楽しみにしていました」と答えればいいでしょう。

人間関係はちょっとしたスキルで大きく変わるもの。こうしたスキルは、繰り返し練習することによって、自分のものにできます。スキルが上がっていけば、無理して相手に合わせたり、自分の言いたいことを抑えたりといった、ストレスがたまることも少なくなります。結果的に相手との関係も良好になっていくものです。

次回は、相手も自分も心地よくなる「自慢のテクニック」です。お楽しみに!

「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は7月26日の予定です。

臼井由妃
ビジネス作家、エッセイスト、講演家、経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫) 公式サイト http://www.usuiyuki.com/
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