「裏メッセージ」を操って売り切れの連鎖を呼ぶ

「なにもしない」の安全策に潜むリスク

私の父親は、友だちの家のガラスを割るなどの「悪行」についてはあまり怒りませんでした。「男の子はそれぐらい元気な方がいい」という理屈で。「なにもしない」のは最低である。一歩踏み出して動け、それで失敗しても気にするな。そう教えてくれた父親は、いま思えばありがたい存在でした。

いまや私の親父のような人間は少なくなりました。それどころかリスク回避やコンプライアンス重視のせいで、「あれはするな」「これはやめろ」と言われることが多くなっています。だとすれば「なにもしない」のが一番。しかし、「なにもしない」ことにも大きなリスクがあるのです。それは意図しない裏メッセを相手に伝えてしまうこと。「~をしない」が好まれる世の中にあって、ますます裏メッセに鈍感になる私たち。裏メッセは新たなリスクになってきたといえるでしょう。

EKAKI / PIXTA

たとえば2人の女性から求婚されている男性がいるとします。Aさんと結婚すべきか、それともBさんを選ぶべきか。幸せな彼はここで「選べない」状況に陥るかもしれません。ここで決断できない彼は自ら意図しないうちに「優柔不断な男である」との裏メッセを発信してしまうのです。これでは2人から愛想をつかされてしまいかねません(身近にあった実話です)。皆さん、恋愛でもビジネスでも、裏メッセに気を付けましょう。それだけでなく、裏メッセを味方に付ける方法を考えましょう。そうすれば奇襲を繰り出すことができます。

逆効果になりかねない「絶賛発売中」の売り文句

たとえばモノを売るとき、当たり前のように「絶賛発売中」といった感じで売ろうとしていませんか? その鼻息荒い「売らんかな」姿勢は、もしかすると逆効果かもしれません。なぜならお客さんに「あまり売れていない」という裏メッセを伝えてしまう可能性があるからです。食料品を売る某人気ネットショップでは、いくつかの品物に「売り切れ」と表示しています。売り切れ商品の画面を削除するのではなく、あえて「売り切れ」を明示する、これは心理的にかなり効果があります。なぜなら「売り切れ」表示を見たお客さんは、そこから「とても売れている」という裏メッセを勝手に読み取るからです。きっと何人かは「今度入荷したら買おう」と思うことでしょう。

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