ウインナー売り場が七変化 雑談ヒントに売り上げ倍増
プリマハム 青柳智宏さん
プリマハムの関東量販部で働く青柳智宏さん
スーパー側目線で提案
プリマハムの関東量販部で大手スーパーの営業を担当する青柳智宏さん(43)は担当チェーンでの売り上げを8年間で2倍に増やした。メールのやり取りは最小限にし「とにかく会うこと」を徹底。足で稼いで集めた情報をもとに、メーカー目線ではなく取引先であるスーパー側の目線で提案を重ねてきた。
「自分からメールのやり取りはしません。とにかく理由を付けて会うことが大事」と青柳さんは語る。メールのやり取りでは簡潔さが求められ、雑談は生まれにくい。青柳さんは雑談のなかにヒントを求めることが重要だと考える。
とはいえ、ただ会って雑談をするだけでは意味がない。相手にもメリットが必要だ。青柳さんは「会ったときには相手の話を箇条書きでメモにする」という。相手のちょっとした発言も逃さずメモ。それを持ち帰って、できることとできないことを振り分け、すぐできることは即、実行する。「本部でも店舗でも、会う人のちょっとした一言をヒントにしてすぐに動くことが大事」だという。
青柳さんの一日はふつう、午前は社内会議で、午後は外回りをこなす。外回りでは夕方にようやく、直接の取引先であるスーパー本部に出向くことが多い。それにも理由がある。午後一番に実際の店頭を見て、情報を集める。それを持ち寄って夕方の本部担当者との面談に備えるためだ。
青柳さんの姿勢は商談でも変わらない。青柳さんは「商談そのものも大事だが、その後こそが重要だ」という。どういう意味か。
商談では自社商品を店頭に並べてもらおうと、スーパー側の担当者に対してメーカーが何社もプレゼンする。1社あたりの時間はせいぜい30分程度だ。「限られた時間では印象は薄い」。そこで青柳さんはプレゼン後のフォローを重視する。不採用だった場合も直接、理由を聞きに行く。「会って話すことが次へのヒントになる」
扱う商品は同社の手掛けるウインナーをはじめとした家庭用ハム・ソーセージから業務用の総菜まで幅広い。プリマハムの家庭用ハム・ソーセージのシェアは日本ハム、伊藤ハム、丸大食品に次ぐ4番手で、シェア拡大が営業のミッションだ。ウインナーは日本ハムの「シャウエッセン」、伊藤ハムの「グランドアルトバイエルン」など各社が主力商品を持つ。どうやって売り場を取るか。