カツ丼、天丼、中華粥…冷やしがおいしい意外なグルメ
夏を乗り切るひんやりグルメ(4)
8月も残すところあと2日。「夏を乗り切るひんやりグルメ」は最後に、独断と偏見に基づき、「ちょっと意外なひんやりグルメ」をご紹介しよう。
冷やし中華やそうめん、冷や奴、冷やしトマト…どんなにおいしくてもさすがにこの時期になると食べ飽きる。そこで、普段はあまり冷やすことを考えないメニューの「冷やし」を探すことにした。まずは冷たい麺料理。
冷やし担担麺、冷やしタンメンなどいくつか食べてみたが、おいしいもののいずれも「冷やし中華のバリエーションのひとつ」の観がぬぐえなかった。冷やした中華麺にたれがかかったもので、汁をすすりながら食べる担々麺やタンメンとストレートにイメージが結びつかない。
先週紹介した冷たい肉そばや山形冷やしラーメンなど、汁のまま冷たくして食べるものは、実はあまり多くない。
そんな中で注目は、熊本県水俣市にある「喜楽食堂」の冷やしチャンポン。通常のチャンポンに使うスープをそのまま冷蔵庫で冷やしている。豚骨100%のスープで動物性の脂が凝固しそうだが、意外にスッキリおいしく飲める。
意外性の高さでは、冷やしカツ丼と冷やし天丼が興味深い。
冷やしカツ丼は、冷たいスープに浸してある。いわば冷やし茶漬けだ。ミョウガやキュウリ、オクラなど夏野菜、冷やしに定番のとろろや梅肉との相性もいい。
天丼も同様。天ぷらは揚げたてなのだが、その下のミョウガが入った冷やご飯、天つゆ代わりのジュレが冷たく、天ぷらの熱さは「からっ」と維持する「利」はあっても、冷たさを阻害するものではなかった。
ジュレで天ぷらを味わった後に、かつ丼同様、冷たいスープをかけて味わう。
冷やしかつ丼は渋谷の「かつ吉」、冷やし天丼は新宿の「串てんぷら 段々屋」で食べられる。
冷たい中華粥も意外だった。お粥を冷ました後、冷蔵庫でキンキンに冷やして食べる。添えられた小皿はもちろん作りたてだが、味の濃い、ちょっとでお粥を引き立てるおかずなので、やはり温かさは気にならない。
干しエビの味を効かせた豆腐の炒め物など、そもそもお粥との相性抜群。横浜中華街の「清香園」で食べた。
最後に冷やしおでん。寒い季節の定番料理だが、意外にすんなり冷たくなった。デパ地下で手に入れた「冷やしトマトおでん」。だしがしっかり効いたトマトスープの中に丸ごとトマトやタマネギ、ニンジン、ダイコン、卵、チーズ入りのちくわが入っている。
だしがトマトベースになることで、冷やしに順応した感じで、おでんはもちろん冷たいスープもおいしく味わえた。
(渡辺智哉)
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