水面に映える桜の名所
何でもランキング
もうすぐ桜の季節。沖縄を除くと、早いところでは3月中旬から咲き始める。桜の花が似合う場所の1つが、堀や川などの水際だ。水面(みなも)に映る姿や散った花びらが水上を多い尽くす様子など、独特の味わいがある。全国の名所から専門家におすすめを選んでもらった。
全体的に高評価だったのは、城の堀沿いの桜。東日本にそうした名所が多く、地域的に偏りが出たため、全国でポイントを付けてから東日本と西日本に分けてランキングした。
東日本の1位は、弘前城のある弘前公園(青森県弘前市)。全国ランキングでも1位だった。約2600本の桜があり、外濠、内濠、西濠、蓮池と水面を楽しめるスポットが豊富。「散った花弁が堀を覆い尽くすさまも美しい」(高岡佳代さん)など水面に浮かぶ花びらへの言及が目立つ。中でも、花が水面を浮かび流れるさまをいかだに見立てた花いかだは「桜のもう一つの見方を提示してくれる」(宮嶋康彦さん)。
「桜の手入れは日本屈指の水準なので、密度の濃い元気な桜を楽しめる」(中西一登さん)。手こぎボートで水面からの姿やライトアップの夜桜も。園内は50ヘクタールと広く「くまなく歩くにはかなりの健脚を必要とする」(切畑利章さん)。
皇居の堀沿いに桜並木が続く千鳥ケ淵緑道(東京都千代田区)が2位。歩いて楽しむだけでなく、手こぎボートで水面から見上げる桜への評価が高かった。「水面ギリギリまで垂れ下がり、桜を間近に楽しめる」(庄子利男さん)
「石垣と水に映えるソメイヨシノの並木や、水面を真っ白にする花びらの美しさは天下一品」(金富信行さん)、「夜のライトアップも見逃せない絶景」(清水洋志さん)との声も。
3位は川沿い約2キロにわたり約400本のソメイヨシノが続く角館桧木内川堤(秋田県仙北市)。川音を聞きながら堤を歩いたり、対岸から眺めたり「ゆるやかなカーブを描く川岸に続く桜並木にみせられる人は多い」(村田博之さん)。近くにある武家屋敷通りも桜の名所として有名だ。
4位の高田公園(新潟県上越市)も城の堀沿いの桜。夜桜を推す声が多く「照らされた三重櫓(やぐら)と桜が水面に映るさまは華やか」(大平伸予さん)。
一方、西日本では河畔や湖畔の桜並木が目立った。
1位は、木造アーチ橋と桜が絶景を生み出す錦帯橋(山口県岩国市)。周辺に約3千本の桜が植えられ「観光名所の5連の橋付近に桜が咲き、景色を一層彩る」(稲葉教之さん)、「夕暮れ時に水面に映る桜と橋とのコンビネーションは錦帯橋ならではの美しさ」(ピート小林さん)。
2位は哲学の道(京都市)。「疎水へ左右から差し掛かる桜の枝がロマンチック」(中西さん)。約600本の桜並木が続く「桜のトンネルが見事。低い場所に咲き、一輪一輪よく見える」(清水さん)。
3、4位はスケールの大きな桜並木。3位の毛馬桜之宮公園(大阪市)は大川両岸4・2キロに約4800本があり「咲き乱れる桜は絶景」(庄子さん)。4位の海津大崎(滋賀県高島市)は琵琶湖岸に約600本が約4キロの並木をつくる。
専門家には楽しむコツも聞いた。「堀や堤の桜並木は全体が見渡せる場所から見ると楽しさが増す」(金富さん)。桜の根は地表に近いところに伸びており、根元付近は踏み荒らさないよう気をつけたい。
日本気象協会やウェザーニューズなどの予想では、開花が早い場所が多い見込み。表に載せたのは例年の見ごろなので、今年の様子を調べてから出かけよう。
芦沢恵(JTB広報室)▽稲葉教之(日本旅行グループ事業部マネージャー)▽大平伸予(阪急交通社広報部)▽金富信行(日本花の会常務理事)▽切畑利章(写真家)▽清水洋志(写真家)▽庄子利男(写真家)▽高岡佳代(三栄書房「大人の桜旅」編集長)▽高橋淳(近畿日本ツーリスト国内旅行部)▽中西一登(旅行ライター)▽野呂希一(写真家)▽ピート小林(写真家)▽宮嶋康彦(写真家)▽村田博之(情報サイト「オールアバウト」名所・旧跡ガイド)
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