サンライズという名のメロンパン 完全に西日本の文化
メロンパンとサンライズ(4)
メロンパンとサンライズに関するVOTEの速報値が出た。まず呼び方。
写真で示した二つのパンの呼称に関する設問に対して「メロンパンとサンライズ」「両方ともサンライズ」という答えが多かった、つまり「サンライズ」という名前のパンが存在する(またはサンライズを知っている人が住んでいる)地域をみてみる。
この2つの回答を合計して多かった順に書くと京都66%、広島・滋賀60%、愛媛57%、兵庫55%、和歌山38%、岡山・奈良27%、山口20%、大阪19%。これ以外の地域ではほとんどが「メロンパン」と答えている。
つまり、サンライズ(店によってはサンライス)という呼び方はは完全に西日本の文化である。
「白あん入りだ円形メロンパン」の生息地はどうだろうか。地元に「ある」という回答が多かったのは京都70%、滋賀60%、兵庫58%、高知40%、大阪24%、広島・沖縄20%、徳島17%、愛媛14%、山口13%、和歌山13%などである。これも完全に西日本型である。
この結果から何が言えるのだろうか。以下は私の仮説である。皆さんからいただいた多くのメールの内容、新聞記事などから推測した。
(1)白あん入りメロンパンは戦前の関西で生まれた。神戸説が有力で、否定する材料もないので現時点ではそのまま採用する。
(2) モデルは球形のマスクメロンではなく、だ円形のマクワウリだった。白あんは果肉を表している。
(3)そのメロンパンとは別に、あんが入らない円形のサンライズが併存した。市川市の匿名希望さんからいただいたメールによると、戦後の一時期、「サンライズ」という品種のメロンが栽培されていたそうだ。こちらは丸型で薄くメッシュが入っていた。パンのサンライズがこれを参考に生まれたとすれば、戦後のものということになる。
(4)いずれにせよ関西およびそこから伝播した西日本の一部の地域にはだ円形メロンパンと円形サンライズが共存し、サンライズという名前の認知度も高い。
(5)恐らく戦後になって大阪辺りでカスタードクリーム入りの円形メロンパンが出現し、やがてクリームが入らないタイプのものが生まれた。これは従来のサンライズと極めて似たもので現在全国的にメロンパンと呼ばれている商品となって東日本各地に広がった。
(6)東日本にはもともとサンライズが存在しなかったため、その認知度は現在でもゼロに近い。
(7)現在は店によって製法がばらばらで概念も錯そうしているため、サンライズと全国型メロンパンの境界はあいまいなまま、ほとんど区別できなくなっている。関西でサンライズと呼んでいるものとそっくりなものが東日本ではメロンパンであったりするケースが珍しくない。全国型メロンパン自体、あの丸い形さえしていればクッキー生地がなくてもメロンパンとして売られている。概念が溶解している。
というところであるが、あまり自信があるわけではない。といって、関西を中心に白あん入りだ円形メロンパンとサンライズが今なお併存している状況を考えると、こういう推論に至るのである。もっと合理的な説明があればぜひ拝聴したい。私が間違っていたらすぐ訂正する。
で、これからどうなっていくのだろうか。
表題が「広島にメロンパンはありません!?」となっているところをみると広島のご出身でしょう。時期はわかりませんがかつて広島にはサンライズはあったがメロンパンという呼び方はなかったという内容です。ところが今回のVOTEでは広島は「どちらもメロンパン」という回答が36%もありました。メロンパンの侵攻が続いているようです。
サンライズねえちゃんことエミー隊員もこの夏ふるさとの山口県に帰ってメロンパンがサンライズを駆逐している現状にびっくりしていました。個人的にはせめてサンライズという名前だけでも残ってほしいと思っています。無論、白あん入りだ円形メロンパンには元祖の意地でいつまでも頑張ってもらいたいものです。
と思っていたら逆のケースもあるようだ。
広島の中心街にあるアンデルセン。デパートというよりおしゃれなベーカリーレストランといった印象でした。パンが好きな人にはたまらないでしょうね。
それにしてもアンデルセンは横浜でサンライズを広めていますか。何だかうれしい。
そのほかのメロンパン情報。
放射状の切れ目→サンライズというのが従来の定説で、私もそう思っていたのですが、メロンの品種「サンライズ」起源の可能性が出てきました。もしそうなら面白いですね。
お帰りなさい。沖縄タイム抜けましたか?
ロバのパンが出てこないのは、これ以上フラフラしてはいけないからです。
と言いつつ、前回意味もなく登場したミルメークが思わぬ進展をみせている。ここで本題忘れてフラフラいってみようか。
そんな私がミルメークをなぜ知っているかというと、楽天で時々和菓子を購入する名古屋のお店があるのですが、このお店がおまけにミルメークを入れてくれたからです。8種類あるようですよ。ミルメークの工場も名古屋だとか(川崎の岩橋さん)
小林さんも書いていらっしゃるように、瓶の牛乳を一口飲んでから粉を入れるのがポイントで、喜びの余りに焦ってしまってそれを忘れると瓶の口まで牛乳がいっぱいになって、粉を混ぜることが出来なくなるのです。転校生だった私は周りの友達のその「先に一口飲む」という行為を見て「知恵」のすばらしさを感じたものです。
以前、千葉の友人とミルメークの話になったとき、彼女が「東京の人はミルメークを知らない」と言っていました。私も転校前に東京に住んでいましたが、その時は知りませんでした。ミルメークの分布状況はどうなっているのでしょうか?(シンガポールの池田さん)
だから私は脱脂粉乳世代なんですってば。アルミのお椀のような食器で飲んでいたんですってば。ミルメークなんて知らないんです。「喜びの余りに」脱脂粉乳を奪い合ったりしたことないんです。ときどき乾パンも出たんです。戦時中じゃないんですよ。戦後ですよ。お肉といえばクジラでした。ああ、ぐやじー。
で、ミルメークの製造元、大島食品工業は名古屋です。名古屋の製造業ってユニークですね。
アメリカでは脱脂粉乳は豚のエサだったんですが「日本人の子どもに与えても害はないだろう」ということでアメリカから送ってもらった脱脂粉乳――。うまいまずいを言えた義理ではないが、なんだかある時やっぱり何者に対してってことでなくって「ぐやじ~――」と、ちょっとは思ったこともありますけどね……脱脂粉乳!と聞いて、私の中の封印されていた何かが、よじれねじれ複雑な体(てい)をしてもやもやと立ち上がってきてしまいました(今は魚沼の空を懐かしみつつ異郷で暮らすいえち~さん)
ね、なんかぐやじーでしょ?
ここでデスク乱入 そもそも、ミルメークは脱脂粉乳世代には縁のないものです。なぜなら、生まれたきっかけが「脱脂粉乳の退場」だからです。大島食品工業に聞いて分かったことをちょっと書いてみますね。
売り出したのは1967年(昭和42年)。学校給食の関係者に「脱脂粉乳からビン牛乳にかわることになった。でも、ビン牛乳だと脱脂粉乳に比べ、ビタミンが不足する。一般に給食ではカルシウムを十分とれないという問題もある。何かよいものはないか」と相談され、開発を始めたそうです。で、色々試した結果、カルシウムを加えてもおいしく飲めるコーヒー味に行きついたというわけ。
その後、鉄分や乳酸菌などを加えたり、いちご味やココア味を出したり、溶けやすいように顆粒にしたりといった進化をとげてきました。すべての都道府県に出荷していますが、給食は、同じ県でも地域によって内容が違うので、全部の学校で出ているわけでありません。松戸の猫さんのご指摘のように、びん牛乳には粉末や顆粒、紙パック入り牛乳にはチューブ型というように使い分けます。
ちなみにコーヒーやいちご、ココアのほか、バナナ味やメロン味まであります。 ぐやじー?
野瀬 泣いてやる!
ばばへらの風が東北から流れてきている……と思ったら沖縄にも。
周りにトイレも何もないところにオバチャンたちは置いて行かれるのでトイレ問題が起こります。海沿いだと防風林の松林があるのでそこで用を済ませ、一緒に渡されるポリタンクの水を大事に使い、チョロチョロと手を洗っているようです。おそらく水の量は18リットル……個人的においしいと思いますし、ばばへら食べたい!(秋田出身仙台市在住のAKATOMOさん)
交通安全アイスっていったんですか? かわいいですね。
しかし、本当にトイレ問題は深刻です。ババは辺り3キロ四方くらい、何も建物のないところとかにいるのですよ。一体「大」などを催したらどうするのでしょうか。それとも皆、おむつ装着済みなのでしょうか。
それともう一つ、重大な情報があります。ババヘラは青森県内(私が目撃したのは弘前市周辺のみですが)にも存在します。<目撃地:弘前城、岩木山神社、岩木山神社へ行く途中の道路>。青森と秋田のババヘラの決定的な違いは、まず青森は値段が安く、色が黄色一色であること(味や食感は同じです)。それとヘラではなくアイスを「かぽっ」とやるあの「アイス盛り器」でアイスをのせてくれることです……私もババヘラは全国共通だと思っていたのですが、以前三重から来た友人が非常に驚いているのを見て地域的なものであることを知りました。
炎天下または雨の中でも健気にアイスを売るババヘラのババ。以前新聞で取り上げられた時は、「最近はコンビニの台頭もあり、アイスの売れ行きがはかばかしくなく自分でアイスを買って食べる販売員もいる」とのことでした。是非全国的に宣伝して、ババヘラアイスを絶滅の危機から救って下さい(秋田県在住の銀河さん)
えっ、ばばへらが絶滅の危機にひんしているんですか? そ、そりゃいかん。まずいぞ、それは。さあ読者の皆さん、今後秋田方面に出張または旅行をなさる場合には、ばばへらを発見次第アイスを大量に購入しましょう。ついでにトイレ問題をどう解決しているのか教えてもらいましょう。
難しいHNですね。アテルイ。朝廷の軍隊と戦った蝦夷の英雄です。阿弖流為さんは東北の方でしょうか。
先週は高知のアイスクリン情報。今度は沖縄です。アイスクリームとアイスクリンの違いですが、乳製品か否かではないでしょうか。昔は普通にアイスクリンでした。アイスクリームやソフトクリームは年に1、2度、デパートの食堂で食べた記憶しかありません。何しろ脱脂粉乳世代なので。
さて、久留米の焼き鳥フェスタのご報告。いやー、びっくりした。3、4の両日とも1万人もの来場者があったのである。煙はもうもう、熱気ももうもう。売り切れ店続出だった。ほとんど寝ないで2日間を戦い抜いた店主や従業員も「こんなにたくさんの人が来てくれるなんて」と驚いていた。筑後川河川敷での決起集会の日は近そうである。
11の焼き鳥店から上がる煙は、まるで「久留米は頑張るぞー」という叫びを伴ったのろしのようであった。地域おこしの動輪が回り始めた。
次回のテーマは「ご当地どんぶり・ライスもの」と「ソースカツ丼地図」である。うちの方にあるこんな丼物知ってる? とか、私が食べている〇〇ライスってヘンでしょうか? とか、あそこで変わった丼物を見たぞー、とかいうメールを送ってほしい。ソースカツ丼は全国に飛び地があることが知られているが、今回はその全貌を明らかにしたい。
外国にお住まいの方は「当地にあるヘンなジャパニーズめし」の話題をどうぞ。
ふっふっふ、ごめんね~。
(特別編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界