間口が広いからこそラインアップを拡充
家庭の食卓以外でも、家飲み需要や健康志向の高まりから、ギョーザのニーズは広がっている。前出のインテージが、冷凍食品を購入するユーザーを対象に行った21年4~9月のアンケートでは、「初めて購入した冷凍食品」として「ギョーザ」と答えた回答者が一番多かった。2位以下には「チャーハン類」「パスタ」など主食が並んでおり、おかずではギョーザが圧倒的な人気となった。40代以下の単身者から子供のいる両親まで、ユーザー属性(世代や性別、所帯の有無)にかかわらず、冷凍食品を買うきっかけとしてギョーザが選ばれやすい傾向にある。
間口の広い商品だからこそ、味の素はできるだけ幅広いニーズをカバーできるよう、商品ラインアップをそろえる。定番のギョーザに加え、晩酌のおつまみとしての黒胡椒にんにく餃子、健康志向の方に向けたシャキシャキやさい餃子、食物アレルギーの人のための米粉でつくったギョーザ、とにかく時短したいときにはレンジで焼ギョーザなど、ユーザーがその時々の気分に合わせて商品を選択できるようにした。

「冷凍ギョーザ市場のターゲット層はまだまだ広がっていく。例えば毎年一定数、一人暮らしをすることで自炊を始める若いユーザーがいる。こうした初めて冷凍食品を買って調理するようなユーザーを、しっかり取り込むことを重視していく」(大竹氏)
味の素の20年度の調査によれば、年間で冷凍ギョーザを買う人は43%。購入者は平均で年間6パックを購入している。これらの数字を伸ばすのが目標。「これまで冷凍ギョーザを購入していないユーザーが、毎週買うようになれば、年間52パックと大きく売り上げが伸びる」と大竹氏。発売50周年を迎える王道の冷凍ギョーザシリーズで、さらなる市場を開拓すべく布石を打つ。
(ライター 佐藤隼秀、写真提供 味の素)
[日経クロストレンド 2022年2月14日の記事を再構成]