
アニメやコミック、ゲームなどの絵柄やビジュアルスタイルから発展して描かれる「コミックアート/アニメアート」が、幅広いメディアで人気を集めている。その第一人者といえる存在が、米山舞だ。アニメーター出身の米山は、現在はさまざまな分野で活躍している。昨秋ロンドンのサーチギャラリーの「START ART FAIR 2021」に日本人アーティストとして選出。その作品を見ればわかるが、アニメやコミックという言葉から想像する、いわゆるイラストのレベルにはとどまっていない。1つの作品に様々な工夫と技術が詰め込まれているのだ。
彼女はどのように作品作りに臨んでいるのか。デジタルとリアルを組み合わせ、最新テクノロジーから町工場の技術までを取り込んだ彼女の作品作りから、「日本のものづくり」の新たな可能性が見えてきた。
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エンタメユニット「すとぷり」に代表されるように、イラストを自身のビジュアルとするエンターテイナーやアーティストが急増している。音楽のミュージックビデオ(MV)では、ずっと真夜中でいいのに。やYOASOBI、Eveなどイラスト使用が当たり前となり、バーチャルユーチューバー(VTuber)も興隆。累計発行部数22万部を誇るクリエーター、アボガド6のように、画集などのベストセラーも相次ぐ。アニメやコミック、ゲームなどの絵柄やビジュアルスタイルから発展して描かれる「コミックアート/アニメアート」への注目は、国内はもちろん、世界中で高まっている。
その隆盛を牽引(けんいん)するトップアーティストの1人が、アニメーター・イラストレーターの米山舞だ。
米山は、アニメ制作会社のガイナックス、トリガーなどで活動し、『キルラキル』の作画監督や『キズナイーバー』のキャラクターデザインなどを手掛けてきた。近年はオリジナルのイラスト作品も多数発表。初音ミクGTプロジェクト「レーシングミク 2016Ver.」のデザインを担当したり、エヴァンゲリオンアパレルブランド「RADIO EVA」のメインビジュアルを手がけたり、さらにpixiv総監修のアートブック『VISIONS 2021 ILLUSTRATORS BOOK』の表紙、カネボウ化粧品の「KATE」と『エヴァンゲリオン』のコラボレーションなど、活躍の場を広げてきた。

そして、2021年10月には、ロンドンのコンテンポラリーアート専門美術館として名高いサーチギャラリーの展覧会「START ART FAIR 2021」に参加。その作品は評価金額1240万円を付けるなど、高い評価を受けた。

