「1日1時間以上は仮想空間で」 2026年までに25%に大河原克行のデータで見るファクト

メタバース(仮想空間)で過ごす時間が増えている(写真はイメージ=PIXTA)

「Metaverse(メタバース)」という言葉がよく聞かれるようになってきた。超越や高次、変化などの意味を持つ「Meta(メタ)」と、宇宙を指す「Universe(ユニバース)」を組み合わせた造語で、デジタル上に作られた仮想空間のことを指す。メタバースに参加した人々は「アバター」と呼ばれる自身の分身を操作しながら、さまざまな活動を行うことができる。

メタバース分野には、主要なIT(情報通信)企業がこぞって本格参入の意向を表明している。例えば米Facebook(フェイスブック)は2021年10月、社名を「Meta(メタ)」に変更し、メタバースを今後の主要な事業領域とすることを内外に宣言した。米Microsoft(マイクロソフト)は協業アプリ「Teams(チームズ)」に仮想空間で会議できる機能を22年内に加えると明らかにしている。米Google(グーグル)傘下のYouTubeも2月、「YouTubeの将来を語るうえでメタバースに触れないわけにはいきません」と公式ブログで発言した。

メタバースの波はIT企業の枠を超えてさまざまな業界に広がっている。米小売り大手のウォルマートはメタバースに関連する商標登録を申請した。米ウォルト・ディズニーや米バンク・オブ・アメリカもメタバース関連の特許申請を増やしている。

ただし、メタバースはまだ黎明(れいめい)期。その定義は人によって微妙に異なる。任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」のようなゲーム上の空間をメタバースと表現する人もいれば、07年ごろに一大ブームを巻き起こした仮想世界「Second Life(セカンドライフ)」の再来ととらえる人もいるだろう。利用環境も仮想現実(VR)ゴーグルの装着が前提という人もいれば、スマートフォンやパソコンでも利用できなければダメだという人もいる。

米調査会社ガートナーは、メタバースを「仮想的に拡張された物理的現実とデジタル化された現実の融合によって創り出される集合的な仮想共有空間」と定義、「継続的な没入感(イマーシブ・エクスペリエンス)を提供し、タブレットからヘッドマウントディスプレーまで、デバイスに依存せず、さまざまなデバイスからアクセス可能」と位置づけている。

今後、メタバースが社会に浸透していくのに伴ってメタバースの定義や範囲は明確になっていくだろう。ガートナーは、26年までに人々の25%が仕事やショッピング、教育、エンターテインメントなどのために1日1時間以上をメタバースで過ごすようになると予測している。