日経エンタテインメント!

仲の良さが再生数に影響

現在、再生数が多いのは、ラランドさん、金属バットさん、囲碁将棋さんなどですね。彼らはトーク力が高いのはもちろんのこと、コンビ仲が良い。音声は素が出やすいので、コンビ間の微妙な違和感も伝わってしまい、それが番組離れのきっかけになるんです。ただ最近、仲が悪すぎて逆に人気なのが竹内ズさん。番組中に本気でけなし合っていて、それが面白いと話題になっています。

――法人スポンサーに頼るのではなく、リスナーによる番組スポンサー権利の購入、応援ボタンなどでマネタイズしているそうですね。

恩田貴大 1991年10月19日生まれ、岐阜県出身。2015年にファンコミュニケーションズ入社、ネット広告営業などを経て、20年から新規事業開発部GERAチームの事業責任者に就任

番組スポンサー権利とは、リスナーが番組内で名前を読み上げてもらえる権利で、1100円から購入できます。応援ボタンは、押すとCM動画が流れて、その収益が芸人さんにいくというもの。リスナーが面白い、応援したいと感じた時に能動的に押してもらい、CMを見ていただいています。動画の後には、芸人さんのプライベート写真が表示されるようになっており、これはマンガアプリのCM動画を見ると次の話が読める仕組みを参考にしました。

今後は、トークが面白い音声配信向きの芸人さんをどんどん発掘しながら、音声コンテンツだからこそできる企画や番組に挑戦していきたいです。またGERAをより多くの業界の人にも聴いてもらうことで、芸人さんにGERA以外の活躍の場を提供できたらうれしいですね。

そして、これまで培ってきたノウハウを生かして、アイドルや声優さんなどに特化した音声配信サービスを立ち上げるのも、面白いかなと思っています。それが音声配信業界の規模の拡大につながれば最高です。

スズキの視点

「お笑い」というジャンルは市場としては確固たるものがあり、既存の業界からアプローチしていくのが通例という印象がありました。しかしGERAは、恩田氏のお笑いへの情熱と、外部ゆえの視点、アプローチがうまく融合した事例だと思います。データ活用、バックグラウンド再生など、ユーザーにより良い体験を提供するためにテクノロジーを活用する一方で、番組制作コストの負担、ギャラ、新人発掘にもしっかり投資を行っている。ある意味Netflix的なところもあることで、今後大きくなればさらに面白い存在になるサービスだと思います。

鈴木貴歩
 ParadeAll代表取締役。“エンターテック”というビジョンを掲げ、エンタテインメントとテクノロジーの幸せな結びつきを加速させる、エンターテック・アクセラレーター。エンタテインメントやテクノロジー領域のコンサルティング、メディア運営、カンファレンス主催、海外展開支援などを行っている。

(構成:中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2022年1月号の記事を再構成]