年々CDセールスが縮小し、それに代わるようにストリーミングが台頭してきている日本の音楽市場。アーティストやレーベルにとって、音楽配信の重要性は高まりつつあります。そんななか、2019年にアメリカから日本に上陸したのが「The Orchard」(ジ・オーチャード)。ストリーミングサービスなどへの音楽配信代行業に加え、アーティストのプロモーションのサポートにも力を入れており、注目を集めています。日本オフィスのヴァイスプレジデント・金子雄樹氏に、MTVジャパンやユニバーサルミュージックなどで新規事業開発を担ってきた鈴木貴歩氏が話を聞きました。
1997年にアメリカで設立され、2019年からは日本オフィスも展開するディストリビューター。音楽配信代行業だけにとどまらず、近年はアーティストのプロモーションやマーケティング、データ分析など様々なサービスを提供する。アーティスト向けのダッシュボードでは、「OrchardGo」というスマホアプリもリリース。アーティストは、売上データやSNSの反応を確認できるだけでなく、主要なプレイリストに入った場合や、再生数が急増したときに通知が飛ぶ仕様を備えているため、常に最新の状況をキャッチアップできるようになっている。
――The Orchardはどのようなサービスを提供しているのでしょうか?

弊社は1997年にアメリカでスタートしたディストリビューターで、19年5月に日本オフィスを開設、現在では全世界に45の拠点を抱えています。我々のメイン事業である、ディストリビューションサービスとは、音楽配信代行業とも訳され、アーティストが作った音源などを預かり、SpotifyやLINE MUSICといった各種ストリーミングサービスなどに、それぞれチューニングを施して届けることです。
契約していただいているのは、いちアーティストだけでなく、LD&K、サンライズ、トイズファクトリー内のVIAといったレーベルにも広がっています。外部データにはなりますが、GfK Japan調べによると、この2年でストリーミングにおけるマーケットシェアは約5倍に伸びました。
我々は、ストリーミングサービスごとに担当を付けているので、新機能が搭載されたり、新たなキャンペーンを展開する際に、「弊社と契約するアーティストと何かできないか」といち早く動き、様々なタッグを組んできたことは強みの1つだと思います。
20年の例では、りりあ。さんが11月に『蛙化現象に悩んでる女の子の話。』をリリースするタイミングで、LINE MUSICに「プロフィールMV」(※1)という新機能が追加されました。その際は、りりあ。さんの新曲のミュージックビデオをプロフィールMVに設定してくれた方に対し、抽選でプレゼントが当たるキャンペーンを行って好評を集めました。
(※1)LINEのプロフィール画面の背景に好きなミュージックビデオを設定できる機能。