「ありがたいことにオードリーの若林(正恭)くんには、『言葉に力があるから伝わるラジオになっている』と結構早い時期に言ってもらえて、自信につながりましたね。たぶんそれはサラリーマンとして試行錯誤をしてきたことが大きいのかなと。キー局で最下位のテレビ東京に入り、グルメと旅と音楽が中心のなかで、ほぼなかったお笑い文化を1つずつ積み上げてきた、その人生経験がトークににじみ出ているんじゃないかなと思います。

あと吉田豪さんに、『自分でしゃべって自分で笑う話し方は、ラジオの1人しゃべりに向いてる』と言われたのもうれしかったです。1人で話し手と笑い屋の2役を兼ねてるってことなので。『それって(スタジオで笑い声を出す)テレビマンだからですか?』とも聞かれて、『そうです』と適当に答えたんですけど、よくよく考えたらただ単にゲラなだけで、学生の頃からこのスタイルでした(笑)」

ラジオの力を借りて話す

『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』 1時間半にわたって、佐久間が注目するエンタテインメントから、家族とのほっこりするエピソードまでをしゃべり倒す、通称ドリームエンタメ脱サラジオ。「企画書は、ラブレター…」「カンペッ!!」といったコーナーも人気(水曜27時~28時30分/ニッポン放送)

『オールナイトニッポン0』では、劇団ひとり、バカリズム、オードリー若林正恭といったお笑い芸人たちが、定期的にゲスト出演し、佐久間氏とお笑い談議を交わしている。また『ゴッドタン』でも、「お笑いを語れるBAR」といった企画を定期的に実施。他にも『あちこちオードリー』や、今年7月から始めたYouTubeでも、芸人をゲストに呼んでいるが、「それぞれで見せようとしているものは、レイヤーが少しずつ違うんです」と明かす。

「『ゴッドタン』で2年前に始めた企画が『お笑いを語れるBAR』。芸人がお笑いについて語るという禁断のことを、他ではやっていなかったので、ある程度成功した中堅ぐらいの芸人さんなら、しゃべってもらっていいのかなと思って定期的に行っています。『あちこちオードリー』は、アンケートトークじゃないフリートーク番組もあまりないなと思ったから。こっちは自分のキャリアや仕事論を話してもらうのがコンセプトなので、別に芸人さんじゃなくてもよくて。若槻千夏さんなどのタレントさんにも来てもらっていますね。あとYouTubeは、僕が『芸人が1番ウケたなと思う瞬間』に興味があったので、それを聞くことがテーマだったりします。

じゃあ『オールナイト』に芸人さんを呼んで何をやろうとしているかというと、ラジオの力を借りて、その芸人さんと今まで話してこなかったことを語り合うイメージです。僕は基本的に芸人さんと飲みに行ったりしないので、『あの仕事のとき実はこう思っていた』みたいな、お互いの答え合わせができればなと。コロナ禍になってからは、収録後の雑談もできなくなっちゃいましたからね。

特に深夜ラジオって独特な空気が流れているので、『じゃあ、話そうかな』ってなるんです。まずスタッフの人数がすごく少ないのは大きいでしょうね。テレビだと30人ぐらいいるスタッフが見つめるなかでのトークになるところが、ラジオはブースの中にパーソナリティーと放送作家しかいなくて、そこにゲストが加わるわけで。そんな状態でのトークって、どうやったって特別なものになる。しかも僕のラジオは真夜中でみんなその日の最後の仕事になるので、飲み会のラストの時間みたいな雰囲気になっているんです」

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裏面だったものが表面に