美容系TikTokクリエーター 紹介アイテムの売り切れも書籍『TikTok ショート動画革命』(3)

日経エンタテインメント!

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スキンケアやメイクのHow To動画、紹介動画を中心に人気。21年に開催された「#TikTok動画コンテスト」では、美容部門で1位に輝く

もともと芸能事務所に所属し、舞台に出演するなど女優として活動をしていた、やみちゃん。20代半ばとなった2018年、チケットのノルマに苦しむ状況に疑問を持ったことから事務所を退所した。しかし、「有名になりたい」という夢を諦めきれず、同年6月にTikTokを始める。「最初に投稿したのは家族で砂丘に行った時の動画で、フォロワーは0人だったのに、いきなり1日で5万回も再生されました。例えば、YouTubeでフォロワー数が0人だったら全然見てもらえないと思うんですが、TikTokは引きのある内容であれば、フォロワー数に関係なく跳ねることがあるプラットフォームなんだと実感しました」(やみちゃん、以下同)

いきなり手応えを感じたものの、どんな動画がバズるのかが分かったわけではないため、しばらくは闇雲に様々なジャンルの動画を投稿。そんななか、YouTubeで流行っていたヘアスタイリング動画を投稿したところ、大きな反響があった。「いろんな動画を投稿しても、美容系の動画しかバズらなかったので、そこに絞ることにしました。人気者になるために、とにかく努力してはい上がろうと。人生をやり直す気持ちで動画投稿を続けました」

美容系動画を中心に投稿していき、半年で約18万人ものフォロワーを獲得。すると、大手広告会社から、美容系動画を投稿する業務を行うスタッフとして入社しないかと持ちかけられた。入社後は、1日2本の動画を投稿する毎日に。「昔、『めざましテレビ』でやっていた『早耳ムスメのトレンド一番のり!』というコーナーが、とにかく女の子が楽しめる内容で大好きだったんです。そのコーナーのように自分がときめく商品を紹介して、視聴者の方にワクワク感を毎日届けようと思ってやっていました」。結果、フォロワー数はさらに伸びていった。

視聴者の欲している情報を動画に

フォロワー数は60万人以上。企業SNSアカウントのアドバイザーなども務める(@ayami_yamichan)

20年6月に広告会社を退社し、独り立ちするべく、今の事務所に所属。基本的に投稿するのは、美容系アイテムの魅力を伝える動画に一本化し、現マネジャーと共に、「美容系TikTokクリエイター・やみちゃん」としてのポジションを確立していった。

彼女の作る動画は、多くの点で他の美容系TikTokクリエイターとの差別化に成功している。まず、美容の知識と経験が豊富であるのはもちろんのこと、動画を作る際には、楽天やAmazonといったサイトで該当商品を検索し、ユーザーの口コミをチェック。視聴者が知りたがっていることを徹底的にリサーチした上で、それに答える情報なども取り入れていく。また、一般的にインフルエンサーは近寄りがたいイメージを持たれがちだが、美容に興味のない視聴者にも楽しんでもらえるよう、動画の構成や話し方を“崩すこと”によって、親しみやすさを感じるものに。さらに、美容系アイテムは専門的な用語や話も出がちだが、「こんなこと言われても分からないですよね」と自らツッコミを入れながら、中高生でも分かるよう丁寧に説明している。

これまでに550本以上の動画を投稿するなかで、バズりやすい傾向もいくつか見えてきた。「以前はTikTokなんだからと、音楽や動きなどを意識していました。ただ、自分の言葉でしっかりと説明したり、アフレコで声を入れたりすると再生回数が伸びたので、しゃべりの要素も今はかなり重要だと感じています。それに加えて、人間らしさみたいなものが伝わる内容にも反響がありますね。毎回毎回キッチリした動画だと見ているほうも疲れるのか、時にはBGMも付けずラフな話し方にしたり、変な間ができてしまったりしてもあえてそのまま残すこともあります。あとは、大きめのリアクションですね(笑)」