SHUNTOー大きなポテンシャルを秘めた才能の持ち主
「審査を始めた早い段階から『なんとかなってほしいなあ、なんとかなるだろうなあ』と思っていた才能の持ち主でした。最終的にはSHUNTOにとって合宿が良かったんだろうなという気がします。
合宿所では、音楽を好きな仲間が周りにいっぱいいて、誰かしらが音楽を流している環境。SHUNTOは技術面での伸び以上に、音楽に対する感じ方や考え方、向き合い方が一気に変わったかなと思います。心が育てば耳が育つし、耳が育てば技術も育っていく。それを体現したメンバーだったんじゃないかと思います。
SHUNTOは合宿スタート時から不思議な輝き方をしていたのですが、一方でどんな音楽を聴いているのかいくら尋ねても限られたアーティストしか出てこなかったんです。普通はダメです、プロにはなれない。聴いている音楽が少なければ、耳も育たないしアティチュード(態度、姿勢)も生まれません。人は聴いたことのある音から発声が発展していくので。
SHUNTOはそれでいてオーディション参加段階でも特異な才能を持っていたので、番組(『スッキリ』やHulu)でも言ったように『天才』ですね。とはいえ、最終審査でも彼のこれまで課題だったピッチ(音程)を完全に克服したわけでもありません。でも、今は音楽との距離感が以前とは大きく変わってきていますし、何の心配もしていませんね。一気に成長していくと思いますよ。
あと、音楽を好きになってくれたことで、表情も変わってきました。以前は、どの曲をパフォーマンスしても『ああ、SHUNTOは今楽しいんだろな、パフォーマンスが好きなんだな』という意味でのいい表情でしたが、表情の引き出しや深みが今は全然違います。たった1カ月の合宿でここまで変わってくれて、本当に自分にも自信になりましたし、彼にとっても良かったなと思います」

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(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2021年10月号の記事を再構成]