オフィス街でのサンプリングで定着図る
マーケティングの強化策としては、サンプリングによる認知向上を真っ先に挙げる。これまでニュートラは、取引先のスーパーやアマゾンに主に卸していた。22年からはこれらの販路に加え、飲食店やシェアオフィス、イベントでのサンプリングも検討中だ。
22年1月末現在は、新型コロナウイルス オミクロン株の影響を鑑み、SNS(交流サイト)やバナーなどのデジタル広告をメインに販促を行っているが、感染拡大の状況次第で、感染拡大リスクの低いゴルフ場などを皮切りに、サンプリング活動を再開していくとのこと。
サンプリングによる認知向上を積極的に行う理由は大きく2つ。1つは、まだ日本でハードセルツァーのイメージが定着していないこと、もう1つは、ABIの認知度が日本では低いことだ。同社はベルギーに拠点を置き、ビールの世界シェア約25%を占める世界最大手のビールメーカーだ。日本でも「バドワイザー」や「コロナビール」「ヒューガルデン」などのビールを展開しているが、「(会社としての)ブランド名は日本でそこまで浸透していない」(曽我氏)。商品イメージが定着しておらず、ブランド力にも頼れないからこそ、商品自体の魅力で真っ向勝負するしかない。
「東京・有楽町など、感度の高そうな30代以降が集まるオフィス街を中心にサンプリングを行っていく。スッキリした味わいは食事のシーンにも合い、それでいて風味が豊か。缶で飲むよりも氷を入れたグラスで飲むと、よりおいしさが増す」と曽我氏。コロナ禍の状況も見ながら、飲食店など法人向け(BtoB)の販路も開拓していきたい考えだ。

(ライター 佐藤隼秀、写真提供 アンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパン)
[日経クロストレンド 2022年1月31日の記事を再構成]