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コーヒー摂取と認知症リスクとの関係は?

第1回(「コーヒーで糖尿病のリスク下がる 運動に匹敵する効果」)では、コーヒーによって総死亡、脳卒中や2型糖尿病リスクが低下するといった最新のエビデンスについてお伝えした。

コーヒー摂取量が多いほど認知症リスクが低くなるという研究がある(写真はイメージ=123RF)

福島さんは「これらの効果は、主にコーヒーに含まれるポリフェノールの寄与するところと考えています。一方、コーヒーの継続摂取が認知症、パーキンソン病、うつや自殺リスクを軽減するという知見も増えています。こちらは、カフェインの寄与が大きいと考えています」と説明する。

カフェイン、コーヒーポリフェノールと、成分によって異なる働きがあるようだ。その違いはどこにあるのだろう。

「コーヒーポリフェノールは血液中に比較的長くとどまり、疾患リスクと関係するといわれる酸化ストレスや炎症の抑制に役立つと考えられます。一方、カフェインの強みは、通常の食品成分が通り抜けることができない血液脳関門(血液中から脳組織への物質の移行を阻む仕組み[注2])を突破して、脳に入っていくことです。カフェインは摂取後20~30分で血流に入り、血中の半減期は4時間ほど。摂取後に血流にのり、血液脳関門を通過して脳に入り、交感神経を活性化し、注意力や集中力を高めたり、気分の高揚、覚醒作用などをもたらします」(福島さん)

コーヒーを飲むと気分がすっきりするのは、カフェインが脳に作用するからなのだ。しかし、カフェインの効果は一過性で気持ちをシャキッとさせるだけにはとどまらない。なんと認知症のリスクも低下させるという研究もある。

2021年にコーヒー摂取と認知症リスクとの関係について、国内の研究結果が発表された。1万3757人を対象にした研究で、コーヒー摂取量が多いほど認知症リスクが低くなり、特に1日2杯以上のコーヒーを摂取した人の認知症リスクは、ほとんど飲まなかった人の約50%となっていたと報告された[注3]

「この研究をはじめ、ここ数年の複数の疫学調査において、コーヒー摂取が認知症やその半数以上を占めるアルツハイマー型認知症リスクの低下と関連する可能性が示されています。また、コーヒー摂取はパーキンソン病リスクも抑えるという研究もあります。アルツハイマーと並ぶ神経変性疾患であるパーキンソン病は、脳内のドーパミン不足や神経伝達物質であるアセチルコリンの増強が手足の震えなどの発症に関与するとされます。おそらく、カフェインが脳の神経細胞の保護に役立っているのではないかと考えられているのです」(福島さん)

コーヒーやカフェインと脳との関係は今後さらに解明されていきそうだ。

[注2]血液から脳内へ物質が入り込むのを制限する仕組みのこと。血液中の有害成分の脳内への侵入を阻止するため、脳機能の維持に必要なアミノ酸や神経活動のエネルギー源となるグルコースなどの栄養素以外は、血液中からの物質の移行は厳密に制限されている。そのため、薬剤などを血液中に投与しても、基本的には脳組織へは入れないようになっている。

[注3]J Am Geriatr Soc. 2021 Dec;69(12):3529-3544.

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コーヒーのカフェインを健康に役立てる3つのポイント