配信の可能性は相当スゴイ
空気階段のコントは、風変わりで社会からはみ出したようなキャラクターが登場することが多く、そのような人物に対して温かいまなざしが向けられているところが特徴でもある。21年の『キングオブコント』は彼らを筆頭に、同点準優勝の男性ブランコ、ザ・マミィといった上位のグループが、視聴者から「優しい」と評されるコントを展開していた。本人たちに「優しさ」や「温かさ」をコントに取り入れている意識はあるのか。

かたまり 「時代的に優しいものが求められている」と分析した人がそう言っているだけで、自分たちがそこを意識することはないですね。「僕らにしかできないネタを」とは常に考えてるけど。
もぐら 「おかしい人に対して愛がある」と言われることもありますけど、僕は世の中の全員が変人だと思っているところがあるんで。でも昔からお笑いって、一方的に誰かを疎外するようなネタって、実はなくないですか? 志村けんさんの「ひとみばあさん」だって、店に来たお客さんは困りながらも帰らないし、「変なおじさん」も、最後に警察に逮捕されるっていうオチじゃないですから。僕らはそういうネタを見て、勉強してきているので。もしかしたら、見る人の気持ちが変わってきた可能性はありますけどね。社会が変わったんじゃないかな。
コント作りにこだわり、特に単独ライブに力を入れていることを公言している2人。2月に1万枚の配信チケットを売り上げた要因や充実感をこう語る。
かたまり 20年の『キングオブコント』で、3位になれたことが大きかったと思います。配信によって、単独ライブをよりたくさんの人に見てもらえたのは、本当にうれしかったですね。
もぐら 配信チケットは後から売れたので、口コミで薦めていただいたみなさんのおかげです。興行的に、こうやって配信でもお客さんにお金を落としてもらえると、芸人はコントのことだけを考えて食っていけるようになる。僕らもまだ10年目ですけど、3年目、4年目くらいの後輩に「こんな選択肢があるよ」と示せるようになれたら、相当いいなと思います。
かたまり 初めて単独ライブのDVDを出せたのも、めちゃくちゃうれしかった。
もぐら DVDは僕らからお願いして出させてもらいました。やっぱり、手に取れるパッケージメディアを出せるっていうのは特別ですよね。僕らが最後のパッケージ世代かもしれないですけど。
2人の活躍ぶりは、『キングオブコント』や単独ライブだけに留まらない。10月には初冠番組『空気階段の空気観察』(テレビ朝日)がスタートしたほか、最近はCM起用も目立つ。ソロ活動に目を向けると、かたまりは『でっけぇ風呂場で待ってます』(21年)の脚本を手掛け、もぐらは『日本沈没―希望のひと―』(21年)など、ドラマ出演も話題に。
もぐら 冠番組は初めてなんで、僕らもスタッフさんも手探りで。ネタ作りも1年目、2年目はどうやったら伝わるんだろうと模索していたけど、その時のことを思い出しますね。だんだん伝え方も分かってくるはずなので、長い目で見てもらえたらと思います。
かたまり 冠番組は「いろんな空気を観察する」というコンセプトなんで、縛りがないというか、実は何でもできる番組なんです。1回1回全員が納得しながら、面白いものを作っていけたら。
もぐら 『povo』のCMはありがたかったね。
かたまり 超うれしかったです。ラッキーというか。お金ももらえるし(笑)。
もぐら ご褒美みたいなお仕事だなと。CMは非日常でしたね。