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福島さんは以下のように説明する。

「ここ20年間ほどで、ポリフェノールがどのように体内で働くかについての研究が大きく進展してきました。例えば、緑茶に豊富に含まれる茶カテキンは摂取後小腸で吸収され1~2時間血中を巡り、3時間後には尿から排せつされるため、こまめに飲むことが大切、とされています。一方、コーヒーポリフェノールは、長く血中にとどまっていることが分かってきました」(福島さん)

健康なボランティアを対象に、コーヒー摂取後に血中に現れるクロロゲン酸類代謝産物を時間を追って観察した研究がある[注1]。これによると、摂取後30分のときにクロロゲン酸類代謝産物の濃度がいったん上がり、再び4~6時間後にも濃度が上がった。なぜ、2回にわたって濃度が上がるのだろう。

[注1]Biochem Pharmacol. 2017 Sep 1;139:24-39.

「緑茶の茶カテキンと異なり、コーヒーは小腸で吸収されるだけでなく、大腸にも到達し、腸内細菌叢によって食べられた後に形を変えたポリフェノールとなって血中を長時間巡ることが分かってきました。このような特殊な仕組みにより、コーヒーポリフェノールのうち少なくとも8割は吸収され、体内で有用な働きをしているのではないかと考えられています」(福島さん)

コーヒーポリフェノールと血管の関係は?

面白いことに、コーヒーポリフェノールの血中濃度が上がるのと同じタイミングで、血管内皮機能の改善が見られた、という研究も報告されている(下図)。

コーヒーをとると血管内皮機能が高くなった

健康な成人男性15人にコーヒー(クロロゲン酸類として89mgまたは310mg)、コーヒーと同等のカフェインのみ(コントロール群)を摂取してもらい、その後5時間までの血管内皮機能(血流依存性血管拡張反応:FMD)を測定した。その結果、クロロゲン酸類を強化したコーヒー、通常のコーヒーはいずれも摂取1時間後、5時間後に血管内皮機能が有意に改善した。この研究により、コーヒーによる血管内皮機能改善には主にコーヒーポリフェノールが関わっていることが示唆された。(データ:Clin Nutr. 2017 Dec;36(6):1520-1529.より作図)

血管内皮機能とは、加齢とともに進行する動脈硬化と関わる血管の働き。この機能が衰える「血管内皮機能障害」が血管で起こると、動脈硬化が進行していく。

血管内皮機能に対するコーヒーポリフェノール(クロロゲン酸類)の効果を確認したところ、摂取1時間後と5時間後に、コーヒー摂取群では血管内皮機能が有意に改善した。

「まさにポリフェノールが吸収されるタイミングとシンクロして、血管がしなやかになったのです。血管内皮機能が1%改善すると、循環器疾患リスクが13%低下する、というメタ解析研究もあります。人は血管とともに老いる、といわれますから、血管がしなやかになることは全身の健康状態の維持に寄与するといえるでしょう」(福島さん)

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飲まなくても問題ないけど、飲み続けると「お得」な飲