都内に6月誕生のラーメン店 とびきり推奨の3店は

見目麗しい麺屋 ルリカケスの「味玉醤油そば」

2022年6月は空前絶後の大豊作といえるほどラーメン店の新店ラッシュだった。これまで地道にため込んできたエネルギーが、一気に爆発したような感じさえした。加えて、単なる新店でなく、全体に占める優良店、注目店の比率が極めて高かったのも特徴といえる。大げさではなく首都圏の一都三県だけでも優に10店を超す「次代のスターの卵」が誕生したのではないかと思っている。そこで、今回は6月にオープンした新店の中でも、私が特にお勧めしたい都内の優良店3つをご紹介したい。気になる店があれば、ぜひ足を運んでみてほしい。

 ★麺屋 ルリカケス(東京・木場)

~鹿児島・奄美の「鶏飯」をモチーフにした独創的な1杯。一体感のあるうま味が秀逸~

まずご紹介するのは、東京・木場にオープンした『麺屋 ルリカケス』。屋号は鹿児島県の県鳥『ルリカケス』にちなむ。「故郷・鹿児島にゆかりのある店名を」との磯脇智将店主の思いがこもる。ちなみに、ルリカケスは同県の奄美大島、加計呂麻島、請島のみに生息する天然記念物。

磯脇氏は、ラーメン業界に入ってから今般の独立に至るまでに12年もの修業経験を重ねたベテラン。しかも、直近の修業先で店長まで務めた『らーめん改』(東京都台東区)は、貝出汁ラーメンの名店として知られる。正真正銘、ラーメンづくりのノウハウを知り尽くした実力派といっていい。

そんな実力派職人が、満を持して今般、ラーメン激戦区・木場の地で独立開業した。

ラーメン激戦区の木場に誕生した「麺屋 ルリカケス」

ロケーションは、東京メトロ東西線の木場駅から徒歩2分程度。東陽町寄りの出口である1番出口を利用すれば、最短で店へとアクセスできる。

『ルリカケス』が提供するのは、「醤油(しょうゆ)そば」、「塩そば」と、そのバリエーション。いずれも甲乙つけがたい完成度を誇るが、初めて同店を訪問される方には、「醤油そば」に「味玉」をトッピングした「味玉醤油そば」をお勧めしたい。

錦糸卵の「黄」、鶏のほぐし身と味玉の「白」、ネギの「緑」、メンマの「茶」、チャーシューの「紅」など様々な色彩がちりばめられた見目麗しい一品である。

印象的なのは、ビジュアルだけにとどまらない。店主の「おふくろの味」である『鶏飯』の要素を盛り込み、ラーメンの具としてはレアな「錦糸卵」と「鶏ムネ肉のほぐし身」を使用。唯一無二性をも兼ね備えた1杯となっている。

スープは、『黒さつま鶏』、『赤鶏さつま』の丸鶏・鶏ガラと、節系魚介等を、うま味バランスの調整に細心の注意を払いながらブレンドしたもの。五臓六腑(ろっぷ)に染みわたる鶏の滋味と、鼻腔(びこう)を心地良くくすぐる節の和風味が、互いを引き立てながら仲むつまじく共存し、より高次元のうま味を生む。

このスープに合わせる麺は自家製で、2種類から選択可能。「太麺」は柔らかくモッチリとした食感が印象深く、「細麺」はパツンと歯切れの良い食感が特徴だ。私は太麺を選んだが、確かに、みずみずしい麺肌と強靭(きょうじん)な弾力が、琴線のド真ん中に突き刺さる絶品だった。

特に、麺に「錦糸卵」と「鶏のほぐし身」を絡めながら、3者を同時に咀嚼(そしゃく)したときに生まれるうま味の瞬間最大風速は、最近、体感したことがないほど。思わず感嘆の声が漏れ出しそうになった次第である。スープ、麺はもちろん、個々のトッピングに至るまで、実に丁寧な仕事ぶりが垣間見える秀作。ぜひ一度ご賞味いただきたい。