味覚中枢を直撃!もはや脱帽の淡麗系ラーメンの新鋭

「らぁめん ご恩」のスープは透き通った清湯タイプ

今回ご紹介するのは、本年(2022年)3月6日に東京都中野区にオープンした『らぁめん ご恩』。昨年7月から10月まで東京・浅草橋の居酒屋『あいちゃん』の店舗を間借りし、昼限定で営業していた『らぁめん ご恩』が、中野区大和町に路面店として新規開業に至ったもの。店主、大澤剛氏は『ご恩』の前に、東京・小金井市で『無坊』という実力店を立ち上げ、初代店主として腕を振るっていた名うてのラーメン職人だ。

店は野方駅(西武新宿線)と高円寺駅(JR中央本線)の中間地点付近にある。野方駅からの方がやや近い。店主が昔から、「ここで店を構えたい」と憧れていた環状7号線沿いにある。野方駅から環7通りに出るまで2分程度歩き、高円寺方面に向かって5分程度直進すれば、難なく到達できる。同店の近傍には有名ラーメン店である『十八番(おはこ)』や『野方ホープ本店』があり、野方方面からアプローチする場合には、格好の目印となるだろう。

さて、この『らぁめん ご恩』。外観は、極めてソフトかつ上品。麺を箸で持ち上げた状態のラーメンのイラストの下に『らぁめん ご恩』の屋号を掲げた標識は、センスの良さを感じさせる。柔らかなタッチのイラストに、「幅広い客層にラーメンを召し上がってもらいたい」という店主の考えが投影されているような気がするのは、私だけだろうか。屋号のフォントの大きさが控えめで、威圧感を与えない仕様となっている点も、個人的には評価したいポイントだ。

券売機は設置せず、メニューリストから希望の品を口頭で注文する方式。現在、同店が提供する麺メニューは、「らぁめん(塩)」「らぁめん(醤油)」「四川担々麺」の3種類。初訪問であれば、「塩」か「醤油(しょうゆ)」のいずれかを薦めたい。

メニューリストから注文する方式で、店に券売機はない

タレこそ異なるものの、スープ・麺・トッピングともに、「塩」と「醤油」との間に特段の違いはない。スープは透き通った清湯(ちんたん)タイプで、トッピングは、チャーシュー(豚肩ロース&鶏ムネ肉)、メンマ、ネギのみ。チャーシュー、メンマの形状は美しく、色合いも艶やか。数多くのラーメンと接してきたマニアであれば、出来上がりの姿を見ただけで、緻密かつ真摯な仕事ぶりが想像できるだろう。シンプルでありながら、そそられるビジュアルだ。

味の方も、ビジュアルから抱くであろう期待に違わず高水準。「スープ(ダシ)の素材は、鶏手羽先と丸鶏のみ。手羽先は当日の朝、肉屋さんにさばいていただいたものを毎日取りに行っています。鶏肉を用いるのは、鶏の持ち味である五感に訴え掛ける滋味を味わいつくしてもらいたいから。それ以外の素材は、かえってうま味を濁らせるのではないかと考え、使っていません」

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タレにも店主の経験とこだわりが凝縮