元祖くず餅:乳酸菌発酵でお肌がつるつる

独特の食感に根強いファンが多数の「元祖くず餅」。奥は「飲むくず餅乳酸菌」

日本の銘菓2つ目は船橋屋(東京・江東)の「元祖くず餅」だ。1805年(文化2年)創業、東京の亀戸がルーツ。もっちりしていながらつるりとのど越しのよい、三角形のくず餅。もちと呼ぶが、小麦を原料とする江戸時代発祥の「和菓子唯一の発酵食品」だ。小麦粉を水で練った後、グルテン(タンパク質)を取りのぞき、残った小麦粉でんぷんを木のたるで乳酸発酵(450日間)させて蒸すとあの形状になる。半透明で弾力のある独特の食感にはファンが多い。

「元祖くず餅」は、現在も多い日で1日4万食分を売り上げる。安泰な老舗のようだが、次々と新しい仕掛けを打ち出し続けている。2021年3月には表参道に、カフェと美容サロンを兼用した新施設「BE:SIDE(SWEETS&TREATMENT)」をオープンした。

カフェはともかく、くず餅と美容の組み合わせを「意外」と思う人も少なくないだろう。長年、女性客から「船橋屋のくず餅を食べると肌の調子が良い」「快腸になる」と喜ばれていたそうだ。調べたところ、くず餅の発酵で使う木のたるに、植物性の乳酸菌株(善玉菌ラクトバチルス乳酸菌)を発見し、「くず餅乳酸菌」と命名した。この乳酸菌を使ったドリンクや化粧水を開発したのだという。

「賞味期限は20分」で若い女性を魅了、表参道限定の「みずくずもち」

この表参道店でしか食べられない限定商品の「みずくずもち」が、SNSで話題となっている。食感はぷるんぷるん、くず餅をさらに爽快にしたような新しい味だ。「賞味期限が提供後20分」というユニークさも加わり、大ヒット。スプーンで弾く動画を若い女性客が投稿している。

一連のヒットの影には、船橋屋の「中の人」としてテレビの情報番組でも複数回取り上げられたSNS広報・宣伝担当者、20歳代の月岡紋萌(あやめ)さんの力が大きい。

ゆるキャラの「#くずもちくん」や、「#フナバシスト(船橋屋の熱烈なファンのこと)」といった新語をツイッター上でファンと一緒に生み出し、船橋屋の日常を積極的に発信している。5000人のフォロワー数を2年間で約7万人に増やし、「昔ながらの菓子」というイメージを一新させた。新たな集客につなげたのはもちろん、「ツイッターをきっかけに、年1回のペースだったのが毎月くず餅を食べるようになりました」と話す客も出てきたというので驚きだ。

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