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情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)に関連するバズワードとして、メタバースやNFTに取って代わるように、この数カ月でにわかに騒がれるようになったのが「ChatGPT(チャットGPT)」だ。2022年11月末に登場した、「対話型AI」と呼ばれるものの最新型であり、文章での質問に対し、人間同士の会話のような、きわめて自然な答えが返ってくる。AIが生成する文章が、人間が書いたものに負けないクオリティーに達していることが、世界中で驚きをもって迎えられた。開発元は、AIの研究開発を行う米国の団体「OpenAI」だ。

人の手によるものと遜色のない文章が作成できるChatGPTは、十分ビジネスに使えるレベルに達している(日本語にも対応)。まだ人間の仕事を完全に代替することはできないが、補助ツールとして考えることで、イノベーションやリスキリングの「武器」の一つになるのは確かだ。

本書『ChatGPT 対話型AIが生み出す未来』は「先読み!IT×ビジネス講座」シリーズの一冊で、ChatGPTの基本的な知識、使用の際のコツや注意点などをまとめたガイドブックである。

著者の古川渉一氏は、アプリ開発を手がけるデジタルレシピ(東京・渋谷)の取締役CTO(最高技術責任者)で、同社が開発したAIライティングアシスタント「Catchy(キャッチー)」の事業責任者。酒井麻里子氏はITライターで、本書はほぼ全編が、酒井氏が古川氏に質問する対話形式で書かれている。

なお、ChatGPTのベースとなるAIモデルとして、2023年3月14日に「GPT-4」がリリースされ、4月末現在、有料版の「ChatGPT Plus」に搭載されている。本書は、その前のバージョンで、無料版「ChatGPT」に使われている「GPT-3.5」を前提に書かれている。

チャットといえば、私たちはすでに、アップルのSiri(シリ)や、アマゾンのAlexa(アレクサ)といったバーチャルアシスタントをよく知っている。どう違うのか。SiriやAlexaは、「ルールベースのチャットボット」と言われる。あらかじめ「こう質問されたら、こう答える」というルールが設定されており、その中から選んで答えを出力している。

それに対して、ChatGPTは、質問や会話の流れに合わせた最適な答えを、その場で新たに作り出す。基になっているのは、インターネット上に存在する膨大なデータの学習だ。

対話を繰り返す「壁打ち相手」に

本書で古川氏は「ChatGPTのすごいところ」として「1往復ではなく連続して会話ができること」を挙げている。例えば、「朝、起きるのが苦手なんだけど、早起きのコツを教えて」という質問の回答に「適度な運動や日光浴を取り入れます」が含まれていたとする。それに対し「適度な運動は、どのようなものがおすすめですか?」とさらに突っこんで質問して、回答が得られたりするのだ。

トヨタが開発した問題解決のためのフレームワークに「5回のなぜ」がある。「なぜ?」の質問を5回繰り返すことで、真の要因を探るというものだが、ChatGPTはこれにもついてこられるということだろう。古川氏は、ChatGPTの使い方について、1回の質問に対して生成された答えをそのまま使うというよりも、対話を繰り返して発想を広げていく「壁打ち相手」として使うと、より強みが発揮されると指摘する。

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