Pコート 薄手の生地でエレガントに

――続いてのビジネススタイルはネイビーのコートで。石津さんはチェスターフィールドコート(チェスターコート)。安藤さんはPコート。ともにダブルブレストでボタンが2列です。王道ダークネイビーのきれいな着こなしです。

石津「普通Pコートは分厚いでしょう。暖かいときに脱いで手に持とうと思っても、持ちにくいのがビジネスで着るときの難点だ。だから、薄手の1枚仕立ての柔らかいPコートを選ぶといい。海軍の制服とは対極のようなエレガントさが出ますよ。ちなみに、ダブルブレストは風向きによって右前、左前と変えるためのものだから、どちらで着たっていいんだよ」

安藤さんのPコートは石津家のアーカイブで「Ken collection」。安藤さんがはいている靴はチャーチのモンクストラップ。大学の卒業旅行で行ったニューヨークで手に入れた

――このPコートは石津家のアーカイブだそうですね。カシミヤ混のウールで裏地がなく生地を2枚重ねた「ダブルフェイス」。ソフトで着やすくできています。晩年の石津謙介さん(祥介さんの父でヴァンヂャケット創設者)はダブルフェイスの服がお気に入りだったとか。

安藤「柔らかくていいですね。Pコートは元は英海軍の軍服ですから、赤×紺のマフラーと帽子でマリンぽくしてみました。石津さんのチェスターコートは大人ならこれを着こなしたい、と思わせるカッコ良さがありますね。チェスターコートを愛用した英国のチャーチル(元首相)みたい」

石津「ところで、きょうの安藤さんのスーツはどういうものなの?」

安藤「30年前くらいのポール・スミスです。ズボンが太くてしばらく着ていませんでしたが、トレンドがビッグシルエットになったので引っ張り出して、昨年から着ています」

――次回はアウトドア、ヘビーデューティー系のコートを見ていきましょう。

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

石津祥介
服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

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