議会の存在に戸惑いも

──前職での経験はどのくらい生かせているのでしょうか。

「副市長就任後はデジタル活用や広報強化、ダイバーシティ推進など、幅広い領域で掛川市の変革を進めています。2つの『CDO』、Chief Digital Officer(最高デジタル責任者)と、Chief Diversity&Inclusion Officer(最高ダイバーシティ責任者)を兼務するなど担当領域は広いですが、NECや学生時代の経験、すべてが今につながっていると思っています」

「就職の際は大学院で専攻していた電気通信(ネットワーク)の分野で開発に関わりたい、電気通信といえばNECだと入社を決めたのですが、入社後の20年は正直なところ『予想外の連続』のキャリアでした。事情があって当初志していたネットワーク関連の開発はできなかったものの、様々な経験をさせてもらい、感謝しています。例えば販売促進・プロモーションを担当する中で、NECがネットワークだけでなく認証関連やロボットなど多様な技術を持っていると気づき、それらをもっとうまく生かせないかと挑戦させてもらったのが新規事業の開発でした。そこから経営企画に移り、新規事業で有効性を実感した『共創』の文化を社内に浸透させることで企業変革を進めたり、その後広報・人事としてダイバーシティ推進や働き方改革、社員エンゲージメントの向上なども任せてもらったりと、語り尽くせないほどの経験ができました」

「意図して『こういうキャリアを歩もう』と選んだわけではないですが、結果として、これまでの経験やスキルが掛川市、行政の現場でも生かせるのではないか、と思える分野が広くなりました。想定外のことをチャンスだと捉え、真摯にチャレンジし続ける、学び続けるという姿勢を大切にしてきたことが、今につながっていると感じています」

──行政(自治体)という異なるフィールドで仕事をして、戸惑うことはないですか。

「民間と行政では仕事の進め方や組織文化などに違いがあるのは当然だと思っていましたが、想定外のことも多く、とくに就任直後は戸惑いの日々でした。使われる言葉や慣例の違いはもちろんですが、中でも大きな違いだと感じたのは議会の存在です。基本的には何事も議会承認が必要であり、仕事の進め方や意思決定のスピードの違いに戸惑いました」

「一方で、徹底的に利用者目線で市民サービスを提供している職員の皆さんの行動力、対応力は想像以上に高く、ポジティブな驚きでした。今となっては『戸惑いは新しい発見だ』とワクワクする感覚です」

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