2021/12/1

実は、確定申告とワンストップ特例では、控除の計算式が微妙に異なる。

上の図を見てほしい。軽減される税金の額は、確定申告する場合は①と②と③の合計で計算される。一方、ワンストップ特例を利用する場合は②と③と④を合計する形になる。両者の違いは①の「所得税からの控除(還付)」か④の「住民税の申告特例控除」かということになる。

ここで注目したいのが、③の「住民税の特例控除」だ。実はこの③には20%という上限がある。④は③をベースに計算される。このため、③の上限(=各自の限度額)を超えて寄付をしてしまった場合は、③だけでなく、④の控除もゼロになってしまう。結果として、②の「住民税の基本控除」10%しか、節税のメリットを受けられなくなってしまうのだ。これに対し、確定申告をした場合は③がゼロになったとしても、②も①も控除を受けられる。

確定申告とワンストップ特例はこのように計算式自体が異なる。だから、ふるさと納税による年間の寄付総額が限度額を超えてしまった場合は、確定申告する方が有利になるというわけだ。この点をしっかり覚えておこう。

さて、確定申告の話が出たついでに、所得税に関する豆知識を少し。課税所得500万円で所得税率20%だとしたら、所得税は500万円に20%をかけて計算するもの、と考える人が多いのではないだろうか。実はそうではない。

所得税は課税所得によって5~45%の7段階に分かれている。そして、各ゾーンごとに異なる税率を適用する形で計算する。たとえば、課税所得が500万円ならば、まずは195万円までの分にそのゾーンの税率(5%)が課され、それを超えて同330万円までの分にはその1つ上のゾーンの税率(10%)、残りの330万円を超えた分にさらにその上のゾーンの税率(20%)という具合だ。

上の説明を式で表せばこうなる。(195万円×5%)+(〈330万円-195万円〉×10%)+(〈500万円-330万円〉×20%)=57万2500円

もし、こうした仕組み(「超過累進課税」という)になっていなかったとすると、課税所得が900万円の人と901万円の人がいた場合、たった1万円の違いで税率が10%も違う、といった状況になってしまう。そうしたことを防ぐ仕組みだ。

なお、実際には、その年の年収から各種控除をマイナスしてそもそもの課税所得を割り出す計算なども必要とあって、税率だけ分かれば簡単に所得税の額を算出できる訳ではない。とはいえ、所得税は会社員にとって最も身近な税金の1つ。ふるさと納税のお得な活用と合わせ、ついでに覚えておこう。

リピート意向9割超、源泉徴収票手にする今が好期

ふるさと納税はリピーターの多い制度だ。本連載の②でもご紹介したNTTコム・オンライン・マーケティング・ソリューション(東京・品川)による、ふるさと納税に関するアンケート(21年5月に学生を除く全国の20歳以上の男女に実施、有効回答数1119人)でも、ふるさと納税経験者のうち「今後も継続したいと思う」というリピート希望者が実に93.5%を占めた。

最初は「なんだか面倒くさそうだな」と思っていても、1度始めると、消費意欲をそそるバラエティー豊かな返礼品と、税負担の軽減という蠱惑(こわく)の沼にはまっていく。それこそ、ふるさと納税の魅力、いや魔力と言えるだろう。あなたの周囲にも、ふるさと納税ファンは意外に多いはずだ。

自治体への寄付は、2年近くに及ぶコロナ禍で疲弊した地方経済の活力剤にもなる。ふるさと納税は、寄付者と寄付先の自治体双方がウィンウィンとなる制度なのだ。

いよいよ12月。会社員なら間もなく源泉徴収票が配布され、今年の収入もばっちり分かる。年の瀬は、ふるさと納税の好期。さあ、今年こそ、ふるさと納税を始めてみよう!

(森田聡子)

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