
「SUITS OF THE YEAR 2021」のスポーツ部門を受賞したバスケットボール選手の高田真希さんにとって、21年は挑戦が成果につながることを実感する年だった。東京五輪では女子日本代表主将としてチームを銀メダルに導いた。躍動感あふれる圧巻のパフォーマンスは、普段この競技にはなじみのない人の目もくぎ付けにし、バスケ人気を押し上げた。「バスケットボールをもっと普及させたい」との一心で、20年には自らイベント会社を起業。コロナ下でも前向きに、「やりたいこと」に真摯に向き合ってきた現役アスリート経営者は、今まさにスタートラインに立つ。
ジャージーからスーツに 着替えて入るスイッチ
経営者としての仕事ではジャケットを着る機会が増えた。着用するスーツはヘリンボーン柄の明るめのブラウンツイード。ワイドシルエットのパンツが優雅で長身の高田さんにとてもよく似合う。濃色のシャツとブーツを合わせた、大人の着こなしだ。
「普段はジャージー姿が多いので、私服では着る機会が少ないぶん、おしゃれな格好をしたい。このスーツは肌触りや着心地が良くてすてきです。年齢を重ねて若い時よりもジャケットが似合うようになって、スーツを着ると、よし、行こう!という気になります。目上の方にお会いするときにはなるべくフォーマルな格好で行くようにしていますが、このスーツならいい話ができそうですし、相手の見る目もちょっと違ってくるのではないでしょうか」
生地の名前は高田さんが起業した会社TRUE HOPEと重なる「H.O.P.E.」だ。ウールにアルパカとシルクが入り、無染色繊維を使うといった環境に配慮した素材。高田さんが選択した。
「シルクは蚕の成虫が羽化した後の繭を使うというお話をお聞きして、いいなと決めました。着るまでは実感がなかったのですが、落ち着いたブラウンやワイドパンツが自分にも似合うんだ、と知りました。表地はシックな色なので、裏地は派手めにしたいと、好きな色の赤、それもおしゃれな感じの花柄に。このスーツを着て街を歩いたら、どういう風に見られるのでしょうね。歩いて反応を見たいな」

五輪の後、所属するデンソーアイリスの本拠地である愛知県刈谷市では、街を歩けば必ず声をかけられるほど注目度が高まった。バラエティー番組などテレビ局からも頻繁に声がかかる。そうした出演要請は絶対に断らない。バスケを普及させたい高田さんにとって、競技をアピールする絶好のチャンスだと考えるからだ。

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